韓国政府は、北朝鮮社会の実態を探るため、脱北者に実施した調査の結果を初めて公表しました。金正恩総書記が権力を継いでから、世襲に否定的な見方が増えていることが分かっています。

韓国で北朝鮮政策を担当する統一省は6日、北朝鮮社会の実態を探るため、6300人あまりの脱北者に行った調査の報告書を公表しました。

報告書によりますと、金正恩総書記が権力を継いだ2011年以降、故・金日成主席直系の「白頭血統」が権力を世襲することについて否定的にみる脱北者が増加。2010年までは世襲に否定的な脱北者は30%程度にとどまっていましたが、2016年から2020年の間に脱北した人では54.9%に達したということです。

統一省は、「北朝鮮で政権に対する住民の不満が積み重なり、意識が徐々に変化している」と説明しています。

また、報告書によりますと、2016年からの5年間に脱北した人の72.2%が食料配給の経験がないと答えていて、食料事情の厳しさがうかがえます。

そのほか、北朝鮮で生活していた時に外国の映画やドラマを見たことがあると回答した人は、2000年以前の脱北者では8.4%だったのが、2016年から2020年の間に脱北した人は83.3%が見たことがあると答えていて、大きな変化がみられました。

なかでも、中国の映画・ドラマを視聴したと答えた人が71.8%で一番多く、その次が韓国の作品で23.1%となっています。