72回目を迎える別府大分毎日マラソンが4日、大分市で行われ、青山学院大OBの下田裕太(27・GMOインターネットグループ)が2時間8分24秒、日本人トップの2位でフィニッシュ。

優勝はワークナー・デレセ(ひらまつ病院)。タイムは2時間7分59秒。下田と同じく青学大OBでマラソン初挑戦の岸本大紀(23・GMOインターネットグループ)が3位(2時間8分38秒)でゴール。

レースは30kmを過ぎて10人ほどの先頭集団から下田が最初に仕掛け、集団の前に出る。後輩の岸本もついていき、35km地点で先頭は下田、デレセら4人に絞られた。37km付近で下田がギアを一気に上げてスパートすると、デレセもついていき、岸本が少し遅れる。スパートがいったん落ち着いた下田は、苦しそうな表情になり、猛追するデレセに抜かれてしまうと、38.6kmで岸本にも一度抜かれる。だが再び岸本を抜き返し、前を走るデレセを追う。

40kmを過ぎて岸本との差は4秒ほどで展開。時折声を出しながら最後の力を振り絞った下田は、追う後輩を振り切り、日本人トップの2位でフィニッシュした。近年、日本選手では川内優輝(13年)、中本健太郎(17年)、西山雄介(22年)が優勝していたが、今年は下田の2位が最高となった。

レース後、下田は「日本人トップを目指してきたので、(デレセ選手に)負けてしまったが最低限よかった。35kmを過ぎてまだ余力もあったので、積極的に勝負していこうと。自分のやりたいことを出せて、いい結果につながった。今後は来年の東京世界陸上を目指していける位置にいると思うので、しっかりと1年間準備して世界陸上目指して頑張りたい」とコメント。

青学時代は、箱根駅伝で3年連続8区区間賞という実績を持つ下田。この日のレース終盤は、後輩・岸本との激しい2位争いを繰り広げ、沿道に駆けつけた妻の声援を受けてスパートを仕掛ける場面も。

下田をよく知る恩師で中継解説の青学大・原晋監督に労いの言葉をかけられると「あそこで岸本の心を折ることができたので(笑)。嫁のおかげです」と笑顔をみせ、岸本との勝負を振り返った。一方、岸本は「初マラソンで最初は不安だったんですけど、余裕を持っていけて。下田さんに負けたのは悔しいですけど次は絶対勝ちます」と先輩を前にリベンジを誓った。

今大会はパリ五輪の代表選考は兼ねていないが、来年東京で開かれる世界陸上(9月)の代表選考に繋がるジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)の「グレード1(G1)」に指定される大会。シリーズⅣ(2023年4月~25年3月)でチャンピオン(ポイント制)になると、マラソン日本代表に内定する。