「ありがとう。またね!」地元に愛され続けた百貨店
(森口代表)
「これ、笑うでしょ?(Q.お子さま用では?)お子さまのですよ。これを大人の人にやると笑うんです」

最終日の31日は、店の片付けに追われていました。すると。
(元アルバイト)
「学生の時、アルバイトをしていまして…」
(森口代表)
「知っとるよ」
花束を手に森口さんを訪ねてきたのは、かつてアルバイトをしていたという女性。

(元アルバイト)
「あの、離しますよ。ずしっときますので、私の愛の重みが…」
(森口代表)
「あ~重てえなあ。めちゃくちゃ重たい」
開業当初から働いていた人は他にも。
(ハンドバッグ販売員・92歳)
「私は92歳なんですけど。人生の仕事の最後がここだったから。こんな幸せな人生はなかったと思う」

御年92歳のハンドバッグ販売員の女性。名古屋から名鉄電車で通っていましたが、それも31日で最後になりました。
(ハンドバッグ販売員・92歳)
「働きやすかった。いろんなデパートがありますけど、お客さんの人柄がいい」
地元・一宮市出身の店長、藤本雅也さんも自ら売り場に出向いて接客です。
(名鉄百貨店一宮店・藤本雅也店長)
「回るお菓子も愛知県では唯一ですが、きれいになくなってしまった。寂しい
思いがします」

一宮市内唯一の百貨店として、地元住民を中心に親しまれてきましたが「ネット通販の普及」に「コロナ禍」が重なり、昨年度の売上はピーク時の半分に。ビルの老朽化もあって閉店することになりました。
それでも最後の1か月は、閉店セールのおかげで、売上は去年と比べて2.2倍に。最後まで「地元に愛された」百貨店でした。
(元販売員・稲葉絵理香さん)
「宝物ですね。10代から働いていたので、一緒に成長した。街の人とも仲良くなって今もつながっている」

そして午後6時半。ついに「その時」が。
最後は、従業員と常連客が一緒になって、店のオリジナルソング「花束」を合唱。23年の歴史に幕を下ろしました。


