連続最下位の屈辱から

そして、最も注目したいのは、チーム全体の空気感である。最下位という位置は「リーグで最も弱い」ということである。2022年に9だった負け越し数は、2023年には26まで積み上がった。2年連続の最下位という現実、さらに、それは1軍だけでなく2軍でも同じ、2年連続の最下位だった。戦力の底上げという意味でも、チーム全体の力が他球団よりも劣っているという厳しい現実がそこにある。

気になっていることは、オフに入ってからここまで、選手たちの各種イベントへの参加など、ほぼ例年と同じように進んできたことである。最下位チームに必要なものは、練習のみである。

最下位チームが成すべきこと

ひと足早い沖縄の春が待っている。例年通りの春季キャンプをしていて「下剋上」が成るほど甘くはない。"よほどのことをしないといけない"キャンプ、それが1軍の北谷、2軍の読谷、それぞれの練習に求められている。

長きにわたる低迷が始まって以来10年余、ドラゴンズの春季キャンプで"猛練習"に出合った記憶はほとんどない。今でも、かつての落合政権時代の「失神ノック」が語り草になっている。練習は噓をつかない、と多くの名選手が口にしてきた。2年続きの屈辱からの脱出へ、キャンプでは、どうかファンの目にも見える力強い"気概"を見せてほしい。

春季キャンプが始まると球春到来、しかし、この球春は実に短くあっという間に終わる。立浪ドラゴンズの春季キャンプが順調に、かつ激しい"氣"にあふれたものとなることに心から期待したい。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。