当時の仲井真知事の要望を受け、那覇空港の第2滑走路の工期を1年余り短縮するなど、インフラ整備を推し進めました。沖縄の経済振興を後押しした安倍総理。


政治学が専門の江上能義さんは一定の評価をする一方、沖縄にとっては冷淡な政権だったと指摘します。

早稲田大学 江上能義 名誉教授
「辺野古はNOだという意志を受けて当選した知事たちは、辺野古反対を言っても県民の声に耳を貸さなかった。そういう意味では冷淡な政権だったというので歴史に名を遺すでしょう。日本の民主主義を後退させた政権であると、それが象徴的に沖縄に出ていると私は考えております」

普天間基地の移設問題では、主張が対立する当時の翁長知事が就任すると面談を4か月にわたって拒否。露骨な対応も目立ちました。

安倍元総理(主権回復式典・2013年)
「沖縄の人々が耐え忍ばざるを得なかった、戦中、戦後のご苦労に対し、通り一遍の言葉は意味をなしません。沖縄が経てきた辛苦にただ深く、思いを寄せる努力をなすべきだということを訴えようと思います」


沖縄を思う言葉を寄せる一方で、実際の政策にはずれも―。

2013年にはサンフランシスコ講和条約が発効した4月28日に「主権回復の日」として式典を開催。日本は独立を果たしたものの、沖縄にとっては「屈辱の日」であるこの日を祝うことに県内では反発がありました。

事件から1週間。メディアの報道の在り方について、江上さんは次のように指摘します。

早稲田大学 江上能義 名誉教授
「森友・加計事件とか桜をみる会とか、メディアに対する圧力とかいろんな問題が安倍政権の時には生じたが、ほとんど報道されず蓋をされて、業績の方ばかりが取り上げられたという印象が強いですね。安倍政権の功罪をもっと客観的に冷静に、日本の民主主義が進んでいるのかどうか、自分たちは民主主義を大切にしているのかどうか、そういうことを考えるきっかけにしてもらいたいと思います」

安倍元総理が日本、そして沖縄にもたらしたことは何なのか、冷静に見つめていく必要があるのかもしれません。