イノシシやシカなどの鳥獣から「臭いで作物を守ろう」と、熊本県芦北町で新たな薬剤が開発されています。
ディレクター「うわあああ!くぅー!おえ!ごほっ!」

カメラマン「うわっ!」
ディレクター「くさっ!」
そんな刺激臭を放つ薬剤を開発したのが、山下早男(やました さなお)さん。芦北町の米農家で、精米工場も営んでいます。

なぜ開発に至ったのでしょうか?
山下早男さん「お客さんが(精米に)来るたびに『困った困った』と、イノシシ・シカどうにかならないかと」
熊本県内での鳥獣被害は、今も増えています。
ここ芦北町では、1年間で被害額が2.8倍に。

特に芦北名産のみかん畑では、シカが葉っぱを全て食べてしまい、木が枯れてしまうという被害が多発していました。
みかん農家 柳田豊彦さん「柵をしても破られるし、入られると必ず何本か食べられてしまう。その繰り返し」

「電気柵」はシカに越えられてしまい、「捕獲用のわな」を仕掛けるとなると費用と人手が必要です。
山下さん「この被害はどうすれば防げるのかと、どうすれば楽だろうかと、その想い!」

そこで山下さんは手軽な方法として、『臭い』で鳥獣を撃退してみようと考えたのです。
元々、自分で肥料を作るなど研究気質な山下さんが試行錯誤を繰り返すこと3年。
薬品や糞尿ではない素材だけを使って、一番きつい臭いを作り出しました。

その臭いは…?
山下さん「豚のフンと、鶏のフンを混ぜたような臭い(笑)」※この忌避剤に糞尿は使用していません
ディレクター「役場の梅下さんもちょっと嗅ぎませんか?(笑)」
取材に同行した芦北町役場の梅下さんが嗅ぐと…。

梅下さん「うええええ!ゴホッゴホッ!さっきご飯食べたばかりなんだけど(笑)」
スタッフも梅下さんも耐えられないほどの刺激臭だったようです。
ちなみにこの薬剤の使い方は簡単、ペットボトルに入れて、切れ目を入れ吊るすだけ。

シカによる被害に悩むみかん農家の畑で実験してみると…。
みかん農家 柳田豊彦さん「仕掛けた場所は被害がなかったですね。毎年この辺にシカのフンとかあるんですが、シカのフンもないから侵入もたぶんしていないんだろうなと思います」
また、鳥獣被害で悩む16か所の農家で実証実験を行ったところ、全ての畑で被害ゼロを達成しました。
山下さん会心の効果を発揮したこの薬剤、実は身近な素材で作られていました。