記録的な大雨や地震など、災害時には避難所に身を寄せるケースが想定されます。その際、女性や子育て世代は着替えやトイレ、授乳などさまざまな問題に直面します。女性目線による災害への備えについて考えます。
◆「避難所」運営の講習会

今年6月、福岡県久留米市で災害時の避難所運営について考える講習会が開かれました。

減災と男女共同参画研修推進センター 共同代表・浅野幸子さん「うぇーん、うぇーん!泣き叫んだりするわけですよね。うるさい!子供黙らせろ!怒声が飛んでくる。その状態であなたは避難所にとどまり続けますか?」
◆避難所で女性が困ること
グループワークでは、幼い子供を持つ母親が避難所生活で困ることや、女性用品の支援物資の扱いについて話し合いが行われました。
講師 浅野幸子さん「女の子は何がほしかったのか、どうして下さいって言えなかったのか」
避難所では、生理用品の配布を男性スタッフが担当するケースも少なくありません。

参加者「何がなんだか分からないのでは、男性ひとりじゃなくて女性とかもいたらわかりやすい」
◆「約6割」防災担当の女性職員いない自治体
避難所生活では、トイレや着替え、女性用の物資不足のほか、性犯罪なども大きな問題となりました。全国各地で災害が相次ぐ中、避難所運営にも女性の視点が必要とされていますが、内閣府のデータによると、日本の約6割の自治体は防災担当に女性職員がいません。

国や自治体の防災政策にも関わっている浅野幸子さんは「日頃の防災活動に、女性の声を反映することが大切」と話します。
講師 浅野幸子さん「現実に、家庭で衛生・栄養・育児・介護などの視点から家族ケアしているのは女性が多い。男女一緒に防災に取り組むことが大事かなと思っています」
◆女性視点で防災ミニブック作成

福岡県は熊本地震をきっかけに、2017年から女性のための災害対応力向上講座を開催しています。
福岡市は熊本地震など被災者の意見を参考に、女性の視点を活かした防災ミニブックを作っています。災害に備えて揃えておくべきものや、女性が安心して過ごすための避難所運営のアイデアが記載されています。

福岡市男女共同参画課 田村真紀子課長「授乳室を設けて落ち着いて授乳できるスペースを確保したり、女性トイレにホイッスルとか防犯ブザーを設置したりして、安心して使っていただけるように紹介しています」

◆民間の取り組みも広がる
自治体だけでなく、民間の取り組みも徐々に広がっています。ホテルの元支配人で防災士の資格を持つ女性が開発した「女性専用の防災バッグ」です。紙ショーツや携帯トイレ、着替えの際には目隠しにもなる大きめのレインコートなどが入っています。

RKB吉松真希「こちらのバッグには、長ズボンも入っています。このように服の上からも履けて、スカートやショートパンツを履く女性も安心して横になることができそうです。」

アビックス 小幡嘉代さん「災害に備えるだけでなく、その後避難所で起きる人的被害を防ぐためにも、この防災グッズを活用してほしいと思って開発しました」
◆自分オリジナルの防災バッグを
防災バッグの中にはこんなものも・・・

RKB吉松真希「この缶は飲み物が入っているんでしょうか?」

アビックス 小幡嘉代さん「アロマオイルになっています。お風呂には入れない、シャワーを浴びることができない状況で、自分の匂いや周りの他の方の匂いも気になるという声が非常に多かった。自分に何が必要かというのを考えていただいて、自分のオリジナルの防災バッグを作っていただくきっかけになったら嬉しいと思っています」
