「僕の言葉は信じられないですか?」最後の“きっかけ”

自信が持てず、なかなか自己表現ができない。そんな宮古ナインに“きっかけ”をもたらす2日間が終わりを迎えた。イチロー氏が最後の“きっかけ”を語りかけた。

最後の“きっかけ”は選手との対話

<イチロー>
なかなか練習試合が難しいしさ、沖縄本島とやることもなかなか無いわけでしょ?だから自分たちがどんなレベルにあるのか不安になるんじゃない?
でもみんなが思っているレベルよりだいぶ高いと思う。その自信は持っていいと思う。自分たちは甲子園を目指すと言っていいレベルにあると思います。どうみても無理だろうと思うチームがあるんだけどさ、そういうチームに僕はこれを伝えないからね…という僕の言葉は信じられないですか?
僕は結構いろんなチーム見て来たし、いろんな野球を見て来たし、その上でこうやって伝えます。信じられますか?

(選手から『はいっ』)いいと思います、それで。

そもそも好きなことが見つからないっていう人が多い

“好きなこと”に自信を持って、自分を表現し続ければ、新たな扉はきっと開かれると、イチロー氏は彼らの未来に目を向ける。

「そもそも好きなことが見つからないっていう人が多い」

イチロー:
甲子園に出られることって彼らにとって大きな成果なので、これから先の人生においてすごく大きな自信をつかめるんですよね。でもほとんど甲子園には行けないんですよ。当たり前ですけど。そこにどうやって向かっていったか、甲子園を目指して自分たちなりに頑張ってきた時間があれば、結果として出られなくても、その先の人生に活かせるでしょう。

彼らは「好きだと思えたものに出会って、それを続けている」

彼らに伝えなかったですけど、そもそも好きなことが見つからないっていう人が多いんですよ。世の中に。大人になったって結局好きなことを見つけられずに、『自分は何をやりたかったんだろう』とか、『俺の好きなものって何なんだろう』って思っている人がほとんどですよ。でも彼らは、いま野球っていう確実に自分が好きだと思えたものに出会って、それを続けている。そこで過ごす2年半がどれだけ尊い時間なのかは、将来、気が付くわけですよ。今やっていることが好きだけど、苦しいことも多いしなかなか成果としても感じられないからね。幸せだと思えないかもしれないけど、あの時最高だったよなって必ずそう思う日が来る。必ずその日が来ます。だとしたら、やらないわけにはいかないよね。それを大人が教えてあげて欲しい。

イチロー氏の伝えたかった事は選手たちに“ダイレクト”に伝わっていた。

<仲宗根生真>
得られる収穫が多くて、体験してみたら思い出になりそうな部分もいっぱいあったけど、しっかりこれを踏み台にしないといけないなと思って、イチローさんに教わったからにはそれを実践して、良い成績を残さないと行けないので、練習からプレッシャーを与えていったり、オンオフの切りかえをしっかりして、甲子園を目指していきたいです。

<与那覇寛大(1年、よなは・かんた)>
二日間自分たちが知らなかったことをイチローさんが教えてくれて、本当にこうやってくれたんだから自分たちの夢である、島の悲願でもある甲子園に絶対出たいと思いました。

1年生の与那覇寛大選手

<砂川結貴>
イチローさんからの自信を持っていいという言葉にすごく背中を押された気分になりました。

<川満悠雅>
イチローさんが甲子園を目指せるチームと言ってくれて本当に自信になりましたし、これだけで満足することなくこれからもっとやっていかないといけないと思った。今、野球したくてしょうがないです。