能登半島地震は奥能登各地の伝統工芸に大きな被害を及ぼしています。
去年に続き今回の地震で窯が倒壊する被害を受けた珠洲市にある「珠洲焼」の工房では伝統を守り抜くため作家が再建に向けて歩みだしています。

今月1日の地震で自宅と工房に大きな被害を受けた、珠洲焼作家の篠原敬さん。
珠洲焼作家 篠原敬さん「(去年の地震と比べて)体感的にはもっと強く、しかも長かった。大地がユッサユッサユッサ、立ってられない」

県の伝統工芸品に指定されている珠洲焼の特長=黒や灰色の落ち着いた色合いは窯の中を酸欠状態にすることで生まれます。

そのため、窯に少しでも隙間があると美しい焼き色を出すことができません。
その大切な篠原さんの窯はおととし6月の震度6弱の地震でも被害を受け、去年5月の震度6強の地震でも壁が大きく崩れました。

立て続けの苦難を乗り越え篠原さんは先月「窯」をようやく再建したばかりでした。

珠洲焼作家 篠原敬さん「去年の5月の地震で窯が崩れ、12月にかけて新しい窯を積み直した。1月20日頃に初めての作品を焼こうと思っていたが、今回崩れてしまった。一回もたかずじまいで崩れてしまった。」

珠洲焼作家 篠原 敬さん「去年5月から地震の後一つ一つ希望を持って窯を積み上げて、展覧会の予定も立てて、前向いてやってきたことが全部、一瞬にしてまたゼロに戻ってしまった。まあ何とも言えないですけど…次は…前回の時は家は壊れたけど住める状態だったが、今は家も住めない状態なのでまず生活から立て直してそれが落ち着いたら窯のことをしようと思っている」
1979年におよそ500年ぶりに復興した珠洲焼。
この伝統を守り抜くためにも篠原さんは、被害を免れた焼き物で2月、東京で展覧会を開くということです。