暑い日にビールを飲みたくなる人も多いと思います。そのビールを飲むことが食品ロス解消につながる取り組みを取材しました。

◆地ビールをアレンジ


黄金に輝く美しいビール。北九州市にある門司港地ビールの代表作「ヴァイツェン」をアレンジした商品です。


RKB下濱美有「やっぱり暑い夏にはビールですね。美味しいです。実はこのビール、原料にパンが使われているんです。その名もブレッドヴァイツェンです」

◆クラウン製パンの取り組み


ビールに使用するパンを提供しているのは、北九州市小倉北区のクラウン製パンです。給食用のパンも作っていますが、その製造過程で“ある問題”を抱えていました。


クラウン製パン 畑中康弘主任「食パンの耳ですね。学校のほうから出せないと言われているので」

◆廃棄される「食パンの耳」

福岡県では、食パンのブロックの両端部分「食パンの耳」を、子供には「堅い」という理由で、給食用では提供していません。すべて廃棄され、家畜の飼料に回されてしまいます。


その量は、多い日には100キロにも。食べられるパンの耳を捨てるのではなく、なんとか活用できないかと思いついたのが、ビールの原料にすることでした。ビールは紀元前、パンから作られていたといういわれがあるからです。


クラウン製パン 松岡寛樹常務「歴史をたどればパンとビールは密接な関係がありますので、できないこともないんじゃないかなと思って」

◆門司港地ビールに相談


クラウン製パンは、門司港地ビールに廃棄するパンをビールの原料にできないか相談。半年かけて試作したプロジェクトは形となり、6月に第一弾として、40キロの食パンの耳が渡されました。


パンの耳は早速、釜の中へ。通常のヴァイツェンの原料の1割をパンに変えたのが、ブレッドヴァイツェンです。

◆タンパク質が多く「泡立ち」良し

門司港レトロビール担当者「こちらが完成品になります。パンの耳のような色のラベルにしていますので」


クラウン製パン担当者「へー、面白い仕上がりですね。泡立ちも違うんですか」

門司港レトロビール担当者「タンパク質が多いので泡立ちはいいですね」

◆小麦のまろやかな味わい

果たしてその味は・・・


クラウン製パン担当者「苦みが出るかと思ったんですが、そういうものもなくて後味が優しいというかマイルドというか、まろやかな味わいで美味しいです」

門司港地ビール担当者「小麦のまろやかさが強まっていると思います」

クラウン製パン 松岡寛樹常務「門司港地ビールさんがプロの技で、こちらの思いつきですけれどいい製品に仕上げていただいて感謝しています」

◆「食品ロス」解消のために

地元の企業がタッグを組み、食品ロスの解消に取り組んだビール。7月13日からついに販売です。


門司港地ビール 峯松幸之助部長
「フードロスの問題は社会的な問題で継続しないと意味がないので、継続するためには美味しい、高品質なものでなければならないので、皆さんがどういう反応をしていただけるのか楽しみです」