能登半島地震の震源から離れた“内灘町”。深刻な被害が出た「液状化現象」。3日にわたって現地調査した東京電機大学・安田進名誉教授に詳細を伺いました。
土地の傾きに沿って地盤が流れる“側方流動”で被害拡大
震源から遠く離れていますが、深刻な被害が出ているのは金沢市に隣接する内灘町。道路が盛り上がったことにより、信号機が手の届きそうな高さに…。

車を押し上げるように地面が隆起している車庫があったり、1階部分が地面に埋もれてしまったりしている建物もあります。広範囲に及ぶ「液状化現象」が町を襲ったのです。
地震発生時の映像を見ると、大きな揺れと同時に道路が波打ちます。すると、手前の地面に亀裂が…さらに奥に見える歩道が割れて浮き上がりました。そして、しばらくすると泥水があふれ出てまたたくまに道路を覆います。
地面からあふれ出る濁った水。車も水没しています。
町のいたるところで起こった液状化現象。ある民家を地震前と比較すると、塀と階段が前に押し出されほぼ垂直になっています。

今回、3日間にわたり現地調査した安田教授は…
東京電機大学 安田進名誉教授
「液状化に関しては起きやすい地区というのがありまして、それが日本海側の砂丘地区なんですね」
この地域は砂丘のキワにあり、もともと液状化が起きやすい地盤。さらに傾いた地形が特異な現象を引き起こしたといいます。
東京電機大学 安田進名誉教授
「液状化とそれに伴う“側方流動”が発生したということです。普通の平らな場所で液状化するよりさらに被害が甚大になると」

通常、たいらな場所で起きる液状化は、地震の強い揺れによって地盤が液体状になること。家などは沈下し、マンホールなど軽いものは地表に浮き上がるといった垂直方向の被害が起きます。一方、「側方流動」は土地の傾きに沿って地盤が流れるため、建物への影響が大きくなるといいます。
今回、典型的な「側方流動」が起こった場所は、奥に小高い丘があり傾斜に沿って地盤が流れてきたとみられます。最後は道路にぶつかり盛り上がって止まっています。
東京電機大学 安田進名誉教授
「また大きな地震が来ると、同じような液状化の被害が起きる可能性は十分にある」