2024年は選挙イヤーだ。
1月の台湾の総統選を皮切りに、
2月インドネシア大統領選
3月ロシア大統領選
4月インド総選挙、韓国総選挙
6月EU欧州議会選挙
9月には岸田総理の任期満了
そして11月アメリカ大統領選と続く…。

中には未来の分岐点になるかも知れない選挙も少なくない。この選挙イヤーを経て世界は、戦争はどうなるのか読み解く。

トランプ氏は立候補できない?

先に列挙した選挙はごく一部であり、一説には地球の人口の過半数が今年選挙に臨むといわれる。その中でも世界的な影響力という点ではアメリカ大統領選に勝る注目選挙はないだろう。現役大統領VS前大統領の一騎打ちと目される中、トランプ氏優勢の声が徐々に高まりつつある。今月6日、アイオワ州でのスピーチは痛烈だった。

トランプ前大統領
「バイデンは私が民主主義に対する脅威だと言うが、彼の方が脅威だ。何故なら無能だからだ。無能であることは民主主義を脅かす。バイデンは私たちを戦争に巻き込んだ。彼のせいで今戦争に巻き込まれているのだ。中東を見て…。ウクライナで起きたことを見て…。私が大統領だったら、こんなことは決して起こらなかった」

相変わらず意気軒高なトランプ氏だが、実は選挙に勝つどころか出馬できない可能性がある。合衆国憲法では“反乱”に加わった者は国や州の公職に就けないことを決めている。
先月コロラド州の最高裁は連邦議会襲撃事件にトランプ氏が関与し、しかもこれは“反乱”だったとして予備選への出馬を認めない判決を出した。当然トランプ氏側は上訴。連邦最高裁が審理することとなった。そしてコロラド州以外にも34の州でトランプ氏に対する同様の訴訟が起きている。

果たしてどうなるのか…。アメリカ選挙法の専門家に聞いた。

ノートルダム大学 デレク・ミュラー教授
「コロラドの最高裁は大きな決断をした。2021年1月6日の連邦議会襲撃を単なる暴動や攻撃ではなく反乱と判断したのだ。その日演説し群衆を扇動したドナルド・トランプは、反乱に関与したということだ。(中略)何百万人もの有権者が今後数か月の間に予備選に投票するので、(連邦最高裁の審理が)後で予備選の結果を覆すのは良くない。だから2月中旬までに判決を出したいという思いが連邦最高裁にはある」

しかし、最高裁はできるだけ中立的で全会一致の判断を下さなければならないというプレッシャーを感じて、裁判で争うというより議会で話し合うべき性質のものだと結論付けるのではないかとミュラー教授は推察する。

ノートルダム大学 デレク・ミュラー教授
「私の感覚では…。コロラド州最高裁の判断を覆し『トランプを含めて11月の選挙を予定通り行いましょう』というのではないかと思う。おそらく80%の確率でトランプが勝利し、コロラド州の判決は逆転すると思う」

ミュラー教授の意見は、多くの人がそう考えているだろうと元駐米大使の杉山氏も言う…。

元駐米大使 杉山晋輔氏
「連邦最高裁の判事は9人。そのうち6人は共和党が推薦した人。多くの人は共和党に有利な結論になるだろうとみている(中略~ただ数の問題ではなく)こういう問題について司法が行政府の長を選ぶことに全面的に介入するのがいいのかっていう…。日本でも“高度な政治判断”って言うでしょ。あれは米英法から来てる…。やはり常識的判断をするんじゃないか…」

立候補できるとなれば、優勢なトランプ氏の返り咲きはかなり現実味を増してくる。新トランプ政権は何をし、何をしないのか…。これまでの発言から推察した。

外交面…ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせる
    中国からの輸入を段階的に停止する
    「トランプ氏はNATOから脱退」(ボルトン発言)
内政面…大統領権限を大幅に拡大
    人事は忠誠心重視
    「不法移民は国の血を汚している」
     ~ヒトラーの『我が闘争』と類似しているとも指摘されている

つまり、国際的には“アメリカ・ファースト”、国内的には“独裁”ということか…。

笹川平和財団 渡部恒雄 上席研究員
「前回は初めてだったから、やれないことがいっぱいあったし、わからなかった。でも4年経験したので自分がやりたいこと、やれないことはどうしたらいいか理解してる。例えば、大統領権限は元々かなり強い、アメリカは…。でも政府には政治任用の人とキャリアでいる人がいる。そのキャリアはかなり多くて、大統領が変わってもずっといる。この人たちは政治任用じゃないからトランプ氏のやろうとすることを邪魔してたんです。今度はそれを減らして政治任用者をもっと増やす準備をしているって聞きました…」