大分県警は去年一年間で受理された110番件数が7万6000件を超え、このうち約3割が不要不急や間違いだったと発表しました。緊急性のない“あきれた内容”も含まれていて、適切な利用を呼びかけています。
大分県警察本部の通信指令センターで受理された110番件数は去年一年間で7万6826件(前年比+8574)でした。このうち不要・不急事案が8308件(前年比+827)、無応答5869件(前年比+2160)、いたずら14件(前年比-33)、誤接9077件(前年比+983件)で、全体の約3割を占めています。

県警察本部通信指令センター 栁澤和直副所長:
「不要不急の件数が30パーセントもあり、私たち指令センターも限られた人数で受理をしているから支障が出る可能性がある」
なかには、耳を疑うあきれた内容もありました。
実際にあった通報:
「化粧品を買ったがCMみたいに白くならない」
「テレビが映らない。どうすればいいのか」
「レストランで注文したのに食事が来ない。遅いので警察から注意をしてもらえないか」
「酔っぱらってタクシーを呼べないのでパトカーで迎えに来てほしい」
「スマートフォンの操作方法がわらないので、教えてくれるところを紹介してほしい」
「駐車券を取り忘れた。どうしたらいいのか」
――不要不急の通報について通信指令センターではどう対応しているのか?
県警察本部通信指令センター 栁澤和直副所長:
「内容を聴いて不要不急とわかっても、いきなりガチャっと切ったりしません。話はちゃんと伺います。こういう方は本当に困っていて、どこにかけていいかきっと不安になっていると思うんです。その上で110番は緊急用と説明し、最寄りの警察署に引き継ぎます」
「ただし一回線をふさぐことにもなります。命のかかわる重大な事態が起きているのに、110番してもつながらず、通報をあきらめる人が出るケースはあってはなりません。やはり110番は適切に利用してほしい」
――緊急事態の際、通報した人は何を伝えたらよいのか?
県警察本部通信指令センター 栁澤和直副所長:
「通報を受理した警察官が順を追って質問していきます。事件か事故なのか、けが人はいるのかなど、詳しい状況を聴き取ります。『急いでほしい』と思うかもしれませんが、通報内容はセンターにいる全ての警察官がリアルタイムで共有し、パトカーの手配など次々と指示を出しているんです」
「現場の住所は携帯電話のGPSで把握できますが、通信状況が悪ければ詳しい場所を聴くこともあります。住所がわからない場合は、近くにある建物の特徴、電柱があれば『電柱番号』を伝えてもらえれば、場所を特定できます」
――緊急走行の際、救急車は必ずサイレンを鳴らしますが、パトカーはどうなんでしょうか?
県警察本部通信指令センター 栁澤和直副所長:
「サイレンを鳴らさないで来てほしいという通報は稀にあります。例えばサイレンの音で犯人を刺激し、事態が悪化するおそれがある場合などです。ただ緊急車両は信号に関係なく交差点に入るほか、反対車線を走行することもあります。犯人の追跡、迅速な人命救助が求められていて、サイレンを鳴らさないかは指令センターで慎重に判断して決めます」
また、携帯電話での誤発信が増加しているといいます。かばんやポケットの中で携帯電話の電源ボタンが5回押されてしまい、知らない間に110番通報してしまうケースです。緊急通報先の電話番号は変更可能で機能をオフにもできることから今一度、設定を見直すことも必要です。
県警察本部通信指令センター 栁澤和直副所長:
「迷ったときは110番していただいて結構です。ただし今一度考えていただいて、不要不急の場合は最寄りの警察署や相談専用ダイヤル#9110を活用してください」