脱丸刈りの流れ、専門家の見解は?
どう考えるべきなのか、現代の風潮について専門家に聞きました。

教育社会学専門 名古屋大学大学院・内田良教授
「丸刈りは、男性の中高生らしさ、あるいはすがすがしさというところで、もてはやされてきた。ただ時代も変わったので、私たちも考えをアップデートしていかないといけないのかなと思います」
そう話すのは、メディアへの出演も豊富な、校則や部活動の事情に詳しい名古屋大学大学院の内田良教授です。内田教授は他人に迷惑をかけない限りは、社会は原則、自由であるべきと考えています。
内田教授
「髪型は本人の身体に介入し、かつ同時に本人の私生活に介入することになるという点でも、それなりに慎重に対応しなければいけないことの1つだと考えています。丸刈りを禁止するということではなくて、丸刈りであれ長髪であれ自由にして下さいというところが大事かなと。まずは子どもたちが自由に活動できて、それを大人が喜ぶ、そういったどっしりと構えた大人の姿勢も必要かなと思います」
多様性や選択する権利、自由が尊重されるべきという考え方が広まっているようです。さて、大人たちの間で議論が進む中、これから高校球児になるかもしれない中学生はどんなことを考えているんでしょうか。聞いてきました!
脱丸刈り、中学生のホンネは?

お邪魔したのは、山口市の大内中学校。今のチームで、すでに5つの公式戦で優勝している勢いのあるチームです。髪型は自由ですが、部員38人のうち6人が丸刈りでした。早速、話を聞いてみると…
丸刈りの選手
「丸刈りはファッションでやってます。いやまあ、なんか人間の真の姿みたいな」
別の丸刈りの選手
「丸刈りがいいと思ってずっとしてます。デメリットは、友達によくたたかれますね…フフ。ちょっと遊び半分で。楽しいんですけど」
一方、丸刈りでない選手は…
選手
「丸刈りは強制じゃないし、おしゃれしたい年頃なんで。丸刈りにしないといけないんだったら、してもいいかな」
別の選手
「丸刈りは嫌だなとは思います。なんで野球部だけ丸刈りなの?とは思います」
広がる「多様性」や「個性」の尊重
勝ちたいという思いはみんな同じ。しかし、髪型を選ぶ理由や、丸刈りについての感じ方は本当にそれぞれでした。素直な意見が聞けて、多様性を尊重する考えが広がっているんだなと実感できたような気がします。そして、今年の山口大会は、去年まで禁止されていた声出し応援が解禁され、4年ぶりにコロナ前と同じかたちで行われます。
県高野連・山縣理事長
「今年の高校3年生は、中学3年生のときに中学校最後の大会が新型コロナの影響で中止になった世代。すべて出し切って欲しい」
高校3年生にとっては、歓声に包まれる球場で戦う「最初で最後」の夏。一人ひとりにできることがある…、プレーや応援でも個性、多様性が輝く瞬間を楽しみにしたいと思います。