
“レースの半分である1500mとラスト1周の走り”をテーマに走ったという田中。前半はスローペースで進んだものの自身の言葉通り、中盤から加速、ラスト1000mは2分46秒、最後の1周も62秒台とスピードを上げた。自身が持つ日本記録8分40秒84に迫る好タイムだった。
レース後、田中は「日本記録はならなかったですけど、(8分)45秒を切ることは出来たので、最低限のレースは出来たかなと思います」と振り返っている。

レース翌日の7日、日本陸上競技連盟は16日に開幕する世界陸上オレゴン大会に出場する追加選手を発表。1500m、5000mで代表に内定していた田中は、女子800mでの代表入りも発表された。日本選手団最多となる3種目での代表が決まった。
これにより田中は16日から25日までの10日間、超ハードなスケジュールをこなすことになった。まずは大会初日の16日に1500m予選が行われ、翌17日に準決勝、19日に決勝が行われる。中1日を空けて21日に5000m予選、22日は800m予選、23日に800m準決勝、24日に5000m決勝。最終日の25日には800m決勝と、すべて決勝まで進出すると最大8レースだ。

その後、9日にも兵庫県選手権(神戸総合運動公園ユニバー記念競技場)の1500mに出場し、4分10秒88をマークした田中。「走る度に調子が整っていく」という父の言葉のように、出国直前までレースに挑んだ。田中は10日、世界陸上の舞台アメリカに向け出発する。
■田中希実
1999年9月4日生まれ、22歳。兵庫県出身、西脇工業高~豊田自動織機所属。
女子1000m、1500m、3000mの日本記録保持者。
2021年東京五輪で1500mと5000mに出場。1500mでは8位に入賞する日本人初の快挙を果たした。