「世襲。僕は諸悪の根源だと思ってる」
野田氏は改めて政治改革を断行すべきと訴える。その柱は2つ。企業・団体献金の全面禁止と政治資金の世襲への制限だ。
立憲民主党最高顧問 野田佳彦元総理
「本来は政党助成金を導入する流れの中で企業・団体献金をなくして行くというのは方向性として確認されていたのに、抜け穴ができてしまった。企業・団体献金の形を変えたものがパーティーじゃないですか。例えば20枚売ったって1人来てくれればいい、金さえもらえりゃ…。実態は献金。そういう抜け穴をふさいでいかないと…。30年たって改めて分かった。抜け穴作ったのがいけなかった…」
さらに政治資金の世襲に関連した問題として亡くなった安倍氏が関連した政治団体の資金が、昭恵夫人が代表に就いた政治団体に無課税で寄付されたことにも野田氏は憤る。

立憲民主党最高顧問 野田佳彦元総理
「昭恵夫人は私人だと閣議決定された人。それが政党支部のトップになるってことは総支部長になるってこと…。ということは次の公認候補になる可能性がある。自民党の党則でもあり得ないこと。かなり権力の私物化が進んでる。蓮舫さんがよく調べていて、二世三世はお金がどう受け継がれてるか…。みんな非課税ですよ。個別の名前言いませんけどほとんどお父さんのお金、相続してますよ。地盤看板カバンのない新人が、知名度で勝てない上にお金の面でもハンデ追ってるっていうのは良くないと思う。どんどん世襲が増えてる。裏金といううまみがあって、相続は非課税。うまみがあるから世襲が増える」
地元で生まれ育ち、地元の県議からたたき上げた野田氏は世襲の最大の問題点として同期の二人を例に挙げて語った。
立憲民主党最高顧問 野田佳彦元総理
「岸田さん三世ですけど、小、中、高、大学と全部東京。麹町の小学校中学校、開成から早稲田大学…。安倍さんも三世、ずーっと成蹊でしょう。山口に学友がいるわけじゃない。岸田さんも広島に学友はいない。みんな東京…。今そういう子がいっぱい。議員宿舎行くと中高一貫教育行ってる子が…。選挙区は地方…。いずれそういう子たちが地方の代表になる。それで地方の声なんて反映するわけない。僕は世襲は諸悪の根源だと思ってる」
「政権交代こそ最大の政治改革」
“金のかからない政治”“金のかからない選挙”を唱え続けている野田佳彦氏に自らの政治活動における収支報告書を見せてもらった。

去年1年間で収入が2160万円。支出が2328万円。月額平均で内訳をみると収入は個人献金63万円、政党交付金88万円、大きいものはこの2つ。パーティーは開かないのでパーティー収入などはない。月額180万円が平均的収入だ。
支出は人件費90万円、外注費5万円、通信費4万円、家賃22万円、消耗費等27万円、印刷代22万円、その他12万円など月平均194万円ほどで、赤字だ。その補填は去年の繰越金で賄ったという。
野田氏の秘書は公設3人に加え私設2人の計5人。総理経験者としては極端に少ない。
それも含め全般的に小さな数字が並ぶ野田氏の収支。これに対し…
パトリック・ハーランさん
「収入も支出も倍くらいあってもびっくりはしない(くらい少ない)。でもこれって野党だからってことはないですか…。与党に金が集まるのは政界の常識。そこで2つ聞きたいんですけど、個人や法人がもっと献金したいって言ってきた場合は断るんですか…。もうひとつは総理大臣時代の数字はどうでしたか…」

立憲民主党最高顧問 野田佳彦元総理
「総理大臣だった時もほとんど変わってないと思います。でも企業で献金の申し出はありました。どことは言わないですが、与党が大好きって団体があるんですねぇ。与党じゃなくなったら手のひら返すように消えてっちゃった。(総理の時は)そういうのも政党支部の方に受け入れました。“ああこういう付き合いもあるんだ”って受け入れましたけど、たちまち消えたんで、そういう団体とはもう二度と付き合わない。(―――結局、与党にいると来る者は拒まない?)そういうもんですね。(政権が長引くとお金が寄ってきちゃう)だから政権交代こそ最大の政治改革になるんですよ」
自民党が弱っている今、政権交代を担える勢力は生まれるのだろうか?野田佳彦氏にもう一度スポットが当たる時が来るかもしれない。もし野田氏待望論が湧きあがったらどうするのか。本人は、明言を避けながらも、自民党一強に対抗するには“多弱”の野党が結集するしかないという。
立憲民主党最高顧問 野田佳彦元総理
「ひと肌もふた肌も脱ぎますよ。じゃないと死んでも死に切れませんから…、もう1回政権交代にリアリティが出てくるようにしなければやってる意味がないです」
(BS-TBS『報道1930』12月22日放送より)