ポイントは「その時期としては…」
気象庁は早期天候情報について「その地域・時期としては、10年に一度程度しか起きないような著しい高温や低温、降雪量となる可能性が、いつもより高まっているとき」と説明しています。ポイントとなるのは「その時期としては…」という前置きです。1年で最も暑い(寒い・雪が多い)時期と比較するのではなく、その時期だけをみて「平年と比べてどれだけ隔たりが大きいか」が重要になります。
つまり、7月~8月には当たり前のように30度を超えるような地域でも、たとえば5月に30度と予測されれば、それは「5月としては10年に一度レベル」の異常な高温と言えるでしょう。雪も同じで、たとえば1月~2月だとよくある大雪も、12月に降れば、それは「12月としてはかなり多い」降雪量になります。
実際に「かなり多い」かどうかを判定する基準は、地点ごとに細かく決められています。たとえば北陸地方で、12月20日からの5日間で「かなり多い」とされる降雪量は、新潟市で13センチ、富山市で35センチ、金沢市で17センチ、福井市で19センチです。シーズンを通してみれば“大雪”とは程遠い降雪量かもしれませんが、12月後半としては、これは10年に一度くらいしか起きない「大雪」なのです。
そして北陸地方全体の平均で「かなり多い」となる確率が30%以上と予想されたときに、気象庁は早期天候情報を発表します。
とにかく「早めに知らせる」
早期天候情報は文字通り、「早めに天候を知らせる情報」です。
週間予報よりも先の6日先から14日先までの天候を予測するので、多少の不確実性はあったとしても「早めに知らせる」ことに重きを置いた情報です。雪の場合は、タイヤ交換や雪かき道具の準備、農業用ハウスの補強、イベントや旅行の日程変更など、事前にできる対策を進めるよう促します。
そして大雪となる可能性が高まってくると、警報級の可能性があるかを示す「早期注意情報」や、地域ごとに発表される「府県気象情報」、いざ大雪になれば「大雪注意報」「大雪警報」が段階的に発表されます。
「10年に一度レベル」と聞くと、大げさに聞こえるかもしれませんが、心構えを高め、できる準備をしておくことが、効果的な利用方法と言えるのではないでしょうか。