「山手線止めてんだぞ」。駅員が激怒する動画がSNSで拡散され、波紋を広げています。発端は、JR渋谷駅で線路に財布を落とした乗客の男性が、ホームの「非常停止ボタン」を押したことでした。
この「非常停止ボタン」、押したら一体どうなるの?線路に物を落としたらどうすれば?元駅員に詳しく聞きます。

■「非常停止ボタン」押すとどうなる?

非常停止ボタンを押すとどうなるのか、鉄道に関する教育を行う岩倉高等学校運輸科で教えていただきました。


元運転士 岩倉高等学校運輸科教諭 大日方樹氏
「こちらの赤いボタンを押していただくと、ブザーが鳴ります。また、ホーム上のランプも点灯して、駅係員、乗務員に何か異常があったことを知らせます」


非常停止ボタンを押すとーー
▼大きなブザーが鳴り、駅員に異常を知らせる
▼ホーム内にある信号が赤く点滅し、乗務員に異常を知らせる
▼乗務員へ無線で報告が行く
その後、異常を感知した乗務員が非常ブレーキをかけて電車を止めるということです。

鉄道ジャーナリスト 梅原淳氏:
非常停止ボタンを押す行為は、もちろんその電車の運転手もですが、駅全体にも危険を知らせるという意味があります。

運転再開までの手順は
▼非常停止ボタンが押された原因を駅員が調査
▼安全を確認
▼運転再開
という流れになります。

■もしも線路に物を落としたら?


線路に物を落としてしまった場合は、
▼駅員に相談する
▼駅員が近くにいなければ、インターホンで駅員に連絡をする
のが基本です。


落し物はどのように回収するのでしょうか。
ホームの上から見える場合、マジックハンドではさんで回収します。最近増えている落とし物として、“ワイヤレスイヤホン”があります。独自の対策を進めているJR東日本池袋駅では、吸引タイプのイヤホン回収機器をパナソニックに依頼して作り、試験的に使っているそうです。


拾うタイミングは、「列車を止めて拾う」「運行の合間に拾う」「終電後に拾う」という3つがあります。

JR東日本 担当者:
社員が轢かれてしまう可能性もあるので、列車を見張る体制も必要。だから「すぐに拾ってください」と言われて拾えるものではない。

大日方教諭:
回収時に落としてしまって破損させてはいけないので、とても慎重に作業する。そのため時間がかかる。

元東京メトロ駅員・芸人 鈴木メトロ氏:
指輪など小さいものは、終電を待って線路に入って回収をします。
線路のさらに奥に行ってしまうとマジックハンドでも取れない距離。終電後に拾うしか対処法がないですね。

恵俊彰:
落し物の確認はいつもするんですか?終電のあとに。

鈴木メトロ氏:
駅員皆でしっかり見回って確認をします。