投票所に置かれている「鉛筆」。以前の投票時を思い返すと、投票所に並べられた「鉛筆」は、“ここ、おれの陣地だし”と、きどった態度にすら見えた。これまでは、そんな「鉛筆」たちにひれ伏し、備え付けの鉛筆を利用してきた。

しかし、新型コロナの第7波突入かともいわれる昨今、不特定多数の人がさわった「鉛筆」は使いたくないなあと不安になっている人もいるのではないだろうか?だからと言って、「マイ鉛筆」を持参してもいいものだろうか・・・投票所の鉛筆事情を調べてみると、意外な事実が明らかになった。

■気になる選挙の感染対策 投票所に「鉛筆」持参OK?

千葉県松戸市では最近市長選挙が行われた。コロナの影響で「マイ鉛筆」希望者はいなかったのだろうか?松戸市選挙管理委員会事務局に「鉛筆」を持参して投票用紙に記入することはできるのか聞いてみた。すると・・・

松戸市選挙管理委員会事務局
持参できます。筆記具を持参してはいけないという法律がないですから」

なんだ、あっさり。筆記具の持参OKとのこと。

実際、総務省のホームページを見てみると「投票所等へ鉛筆やシャープペンシル等を持参することも可能です」と選挙の時の感染対策の一つとして記載されていた。

なるほど。コロナの流行によって、投票所の鉛筆事情も大きく変化したようだ。ところが・・・

松戸市選挙管理委員会事務局
「コロナの流行前から投票時の筆記具の持参は可能ですよ。最近では新型コロナの影響によって注目度が高まり、自分の持参した筆記具を使いたい人もいるだろうと思い、感染対策のひとつとしてアナウンスしています」

なんと、コロナ前でも「マイ鉛筆」にこだわり、筆記具を持参する人の姿があったそうだ。

■ペン類で記入するとどうなる?ペン類が推奨されないワケ

「マイ鉛筆で書きたい」そんな情熱を持つ人がいるなら、「マイシャーペン」「マイボールペン」「マイサインペン」という希望がある人もいるのではないか?どんな筆記具でも構わないのだろうか?

各自治体では、このように呼びかけていた。

世田谷区
鉛筆を持参し、投票用紙に記入することができます」

新宿区
「ご自身の筆記用具を使用することも可能です。※ 筆記用具は鉛筆・シャープペンシルを推奨しています」

鉛筆やシャーペンを推奨?では、ボールペンやサインペンなどは推奨しないのだろうか?

世田谷区
「ご使用いただいても構いませんが、ボールペンなど(特に水性)はインクがにじむ可能性があるため推奨しません

新宿区
「投票用紙は樹脂製で乾きにくいため、ボールペン・水性ペン等では、インクで他の投票用紙が汚れたり、投票用紙同士がくっついたり、文字がにじんで判読が困難になる恐れがあります」

推奨はされていないのはそういう理由か。しかし、私は天邪鬼。推奨していないと言われれば、自然とそっちを使ってみたくなる。そこで、ボールペンで「投票用紙ダミーサンプル」に記入する実験をしてみた。さっそく「T、B、S・・・」っと。投票箱に入れるときと同じように、半分に折り折り折り・・・

そっと開いてみると・・・あ、インクが折り目を挟んで反対側にうつっている。インクの出具合によっては、もっとはっきりとうつってしまいそうだ。

公職選挙法68条には、次のような場合などが無効票となると記されている。

『公職の候補者たる参議院名簿登載者の何人又は参議院名簿届出政党等のいずれを記載したかを確認し難いもの』

にじんだり、うつったりして文字が読みにくくなると一大事なわけだ。記載が確認できずに無効になっては、せっかく投票したのに残念過ぎる。

筆記具の持参はOK!でも、せっかくの一票を無駄にしないため、ペン類は避けた方がよさそうだ。