今年5月、茨城県結城市で400年以上続く老舗酒造が全焼する火事がありました。それから2か月、ある希望を胸に再建に向けて動き出しています。
「これ火が落ちるからさ。これ水道ない?」
今年5月、茨城県の老舗酒造、「結城酒造」で起きた火事。酒の火入れ作業中に出た火は、瞬く間に燃え広がりました。
結城酒造 浦里美智子さん
「木造の建物で、屋根が繋がってるので、結局すぐ燃え広がってしまって」
撮影していたのは社長の妻の浦里美智子さん(44)。
11年前から杜氏をつとめ、去年、北海道で開かれた酒造りの腕を競う大会でグランプリを受賞しました。杜氏として注目され始めた矢先の火事でした。
結城酒造 浦里美智子さん
「ちょうど出荷するのに貼ってたラベルと瓶ですね」
国の有形登録文化財だった2つの酒蔵は全焼。長年受け継いできた酒造りの設備は、すべて奪われました。
結城酒造 浦里美智子さん
「まだまだ臭い、火事の臭いがあって。まだ正直混乱してて。まだ夢の中みたいな感じですね」
再建には億単位の費用がかかります。動き出したのは、地域の人たちでした。
「日が当たる場所だと暑いですね」
焼失を免れた酒およそ5000本は、瓶を洗い、急ごしらえで作った白黒のラベルに貼り替えられました。こうした酒は地元の酒店で販売されました。
滝沢酒店 滝沢伸一店主
「私どもも自信を持って売れる。なるべく支援して、もう1回復興できればと思います」
同じ老舗の酒蔵が発起人となり、義援金の受付もはじまりました。
美智子さんは、今、新たな形での再建を摸索しています。
結城酒造 浦里美智子さん
「私たちが目指している製造石数にすごく近い」
6月、視察したのは北海道の酒造会社。ほかの酒蔵に設備を間借りし、結城酒造の酒を造ろうというのです。
結城酒造 浦里美智子さん
「私自身が酒造りをさせてもらって、『結ゆい』のラベルを貼って、出荷できればなというふうに思ってます」
そしてもうひとつ、再建に向け明るい兆しが。
国士舘大学 横内基准教授
「火災による傾きではまずないです」
焼け残ったレンガ造りの「煙突」。結城酒造のシンボルともいえるこの煙突が専門家の調査の結果、保存が可能だとわかったのです。
結城酒造 浦里美智子さん
「ここでまた新しい結城酒造が誕生するのを待ってるよっていう意味。また煙突の下で蔵ができて、みんなで集まれるようになったらいいな。いずれこの地で、ここで、ここのお水で、最終目標ではあります」
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