警察庁は特殊詐欺事件の捜査を全国の警察がこれまでよりも連携して行えるよう、来年春から新たに500人規模の専従捜査体制をつくることを明らかにしました。

今年1月から10月末までの全国の特殊詐欺の被害額は338億6000万円と、前の年の同じ時期と比べて51億円増加していて、依然として深刻な状況が続いています。

特殊詐欺事件をめぐっては、地方で発生した事件の容疑者が大都市に潜伏していることが多く、捜査員の出張など広域捜査に伴う負担の軽減や全国警察の連携が課題となってきました。

こうしたことから、警察庁は警視庁や大阪など大規模な7つの都府県警察に、事件が発生した警察からの捜査協力の依頼を専門に受け付ける部署の新設を決めていました。

警察庁はきょう、全国の特殊詐欺事件捜査の幹部を集めた会議を開き、この捜査協力体制を「特殊詐欺連合捜査班」=通称、TAITと名付け、7つの都府県警に500人規模の専従捜査員を配置すると明らかにしました。来年春からの施行を予定しています。

渡邊刑事局長は会議で、特殊詐欺の犯行グループはSNSなどで離合集散を繰り返し、犯罪を行う匿名・流動型犯罪グループの典型の一つだと指摘した上で、首謀者の検挙に向けた捜査を徹底するよう指示しました。

渡邊刑事局長
「特殊詐欺のグループの弱体化壊滅のためには、組織的犯罪処罰法の積極的な適用により、被疑者を長期社会隔離に追い込むとともに、犯罪収益を徹底的に追跡し、確実に剥奪する取締りを強力に推進するよう、部下職員を指導していただきたい」