今年初めてバレーボール日本代表に選出された荒木彩花(22・久光スプリングス)。5月のネーションズリーグで鮮烈デビューを果たし、”期待の大型ミドル”として注目を集めたが、試合中の怪我で無念の代表離脱。彼女が初めて味わった”人生で1番苦しかった怪我”を乗り越え再びバレーに向き合うまでの葛藤、日本を背負って戦う覚悟、来年の代表復帰へかける思いを2回にわたってお届けする。

今月9日に行われた女子日本一を決める「全日本バレーボール選手権・皇后杯」ファイナルラウンド2回戦。その第1試合で第2セットから出場した荒木の強烈なスパイクが相手のコートを突き刺した。復帰後初得点にチームメイトはもちろん、会場のファンからも嬉しい歓声が上がった。バレーファンが荒木の復帰を待ち望んでいた。

■「”クソガキ”だった自分を変えてくれた」憧れ続けた日本代表の舞台

11月26日、兵庫県・加古川市で行われたVリーグ・久光スプリングス vs JTマーヴェラスの一戦。第2セット終盤、ワンポイントブロッカーとして、プレーこそなかったものの約5か月ぶりにコートに立った彼女の姿に、観客からは多くの「おかえりなさい!」という声が。

その直後、久光のホーム・佐賀県鳥栖市にあるサロンパスアリーナでトレーニングを行う彼女を取材した。「いつも本当にうるさいんです、くだらないことばっかり言って…自覚あります。クソガキなんで(笑)」と笑顔で迎えてくれた。

試合では前衛時にゴーグルをつける独特なスタイル。身長183cmの大柄な体格も相まって、一見強面な印象を与える荒木だが、その素顔は意外なものだった。
「カメラ慣れしてなさ過ぎて…でも今日は大人な感じでいきます!!」と言い、ビシッと決めたかと思えば、取材中何度もカメラに向かってニヤニヤした顔でピースサインを送ってくる。その様子はまさに”クソガキ”。だが、その無邪気さがなんとも可愛く、愛らしい。日本代表バレーボーラーとはいえ、普通の22歳の女の子なんだということを感じさせる。

荒木は昨年のVリーグでブロック賞とスパイク賞の2冠を達成し、今年初めて日本代表に選出されると、5月から行われたネーションズリーグ(VNL)のメンバーに名を連ねた。デビュー戦でいきなり13得点を挙げる大活躍。”期待の大型ミドル”として日本中に鮮烈な印象を残した。「日本代表は一番目指していた場所だったので、選ばれたときは正直本当にこのタイミングで選ばれて、何か力になれるのかなっていう不安はすごいあったんですけど、まずは素直に嬉しい、やっと一歩入れたなっていう気持ちでした」とふり返った。

日本代表の経験を経て、彼女が得られたものは何なのか。「プレーはもちろんですけど、一番は人間力というか、考え方。昔の自分はガキだったんだなって、今もまだガキなんですけど(笑) そういうところで考え直させられて、人間としてのあり方を一番成長できたなと思います」と話す。