神社を守るために団体を立ち上げて活動を開始

別の日、大森さんは地元の集まりに顔を出し、個人の厄払いの打ち合わせをしていました。

(大森愛子さん)
「9月からずっと…22日が最後の休みで。気付いたら(10月)23日まで休みがない。衝撃的な事実」

宮司の数が増えれば負担も減りますが、極めて難しいのが現実。理由は、宮司の収入だけでは、食べていけないからです。

神社の収入は氏子から集める神社費や厄払いなどの祈祷料や賽銭などですが、ここから神社の維持費などが差し引かれて、残りが宮司の収入になります。

(大森愛子さん)
「(氏子が少ない神社は)1軒あたり神社費を数万円払っていると思います。もっとお金をくれなんて、言えないですよね」

高齢化などで氏子の数が減り続けている中、神社費などの収入も年々減少しています。

(大森愛子さん)
「神社を守るのは、これから大変になる。草刈りをしたり、木を切ったり、(維持のために)色んな事をやらないといけないので。小さな神社をまとめる組織、みんなが協力してなんとかできれば」

大森さんは東三河で神社を支えるための社団法人を設立しようと2023年6月、クラウドファンディングを実施。

60万円以上の資金が集まり、2023年9月に一般社団法人「社会(やしろかい)」を立ち上げました。

社会が一般から募った寄付で、地域の小さな神社への金銭的な支援や宮司や巫女への固定給の支払い、さらに神社に興味を持ってもらうための勉強会を開くなど、神社を守る団体としての活動を目指しています。

翌日、大森さんは宮司の仕事はありませんでしたが、社務所で巫女の舞を練習していました。

その理由は、体力作りです。

もうすぐ迎春準備の大祓、年明けは新年のご祈祷と、一年で最も忙しい時が巡ってきます。体力作りと後進の巫女の指導のための練習を兼ねた舞です。

(大森愛子さん)
「しんどいんですよ。53歳なので、引き際は考える。モクレンのように潔く散りたい、ぱっと咲いてぱっと散る」

引き際を考えていると話した大森さんですが、まだまだ地域の心のよりどころとして大きな期待がかかっています。

CBCテレビ「チャント!」2023年12月5日放送より