聖マリアンナ医大病院 佐々木信幸医師
「(コロナ後遺症患者は)後頭葉と前頭葉の辺りに、血流低下を起こす人が多かった印象。正常な人に比べて、部分的に脳の血流が低下している。これは紛れもない事実です」

後遺症患者の脳の血流を示した画像では、血流が著しく低下しているのがわかります。
後頭葉は目から入った情報を、側頭葉や頭頂葉などに伝達する重要な役割があります。後頭葉の機能が低下すれば、情報の伝達ができなくなり、物事の理解が遅れたり、身体をうまく動かせなくなったりするのです。
佐々木医師
「目から入った情報をどう処理するかという過程。ここの処理がうまくいかないと、すべてがモヤモヤしてしまい、なかなか正解にたどり着けないので(脳や体が)疲れてしまう」

血流が低下した脳の活動を高めることで、ブレインフォグの症状が改善するというのです。女性もこの治療を始めて以降、症状が改善しているといいます。
コロナ後遺症患者 女性(20代)
「何回かやっていくと、ちょっと頭の回転が速くなったような感じがします。ブレインフォグが一番きつかった。ストレスがすごかったので、頭が働く効果を感じています。社会に出られるぐらいにまで早く回復したい」
この治療を受けた半数以上の患者で、症状が改善しているといいますがーー

佐々木医師
「効く人と、残念ながら効かない人がいる。どういうところが違うのか分かれば、より効率的な治療につながる。患者さんの負担も減ると思います」
「あとは原因の研究をちゃんとやらなきゃいけない」
後遺症が起こるメカニズムは、今も分かっていません。診断する方法も、治療法も確立していません。「rTMS」を含む様々な治療法は、あくまでも「対症療法」なのです。