「正座して手足がしびれる感覚が脳みそで…」そのメカニズムは?原因に迫る臨床研究チームに密着

「コロナ後遺症はどうやって起こるのか」そのメカニズムを解明するための臨床研究が、横浜市立大学で始まりました。研究チームを率いる、高橋教授はー

横浜市立大学生理学 高橋琢哉教授
「コロナは最初、呼吸器の疾患だけだと思われていたけれど、かなりの爪痕を体に残していくと。その一つが脳であるということが、臨床症状からも分かってきて、記憶がうまく機能しないですとか、脳に何か変化が起きているだろうと」

研究チームは、脳内の神経伝達物質の流れに「何らかの異常が起きているのではないか」と考えています。

脳には60億個以上の神経細胞があり「シナプス」と呼ばれる“つなぎめ”を「神経伝達物質」が通過することで、情報伝達を行っています。

研究チームは、コロナウイルスが「脳内で悪さをし、情報伝達を妨げている」と考えています。

臨床研究に参加した神奈川県に住む40代の男性。ブレインフォグに2年間、苦しめられています。

コロナ後遺症患者 男性(40代)
「(症状として)一番近いのは、正座して手足がしびれる感覚。しびれてしまってジーンとしている状態が、脳みそで起きているイメージ」
「ブレインフォグの治療の一歩になる研究なので、期待をしています」

さまざまな検査のあと、男性が向かったのは「PET・CT室」。男性の脳のなかで、どのようなことが起きているか調べるのです。

一週間後、男性の脳の解析結果がでました。男性の脳には、健康な人の脳とは異なった点があるといいます。

ーー男性の脳は健常者の脳と比べて違いがある?

高橋教授
「厳密には統計をかけないと何とも言えないですけど。なんかちょっと違和感はありますね」

ーー画像のどこに違和感を感じる?

研究チームのスタッフ
「通常は前頭葉とか一帯に赤い集積がピーッとあるのですけど、(この男性の脳は)黄色がメインになっている」

男性の脳では、神経伝達物質の流れが、著しく弱っていることがわかりました。

研究チームは、男性を含めた患者30人の脳を分析し「なるべく早く、後遺症の手がかりを掴みたい」と考えています。多くの人が望む治療薬の開発につなげるためです。

高橋教授
「(後遺症患者たち)を治して『コロナ禍って終わったよね』と言える。一番難しい課題でもあるのですが、しっかり我々はやることをやって、なるべく早くその解決策を提示できるようにしていきたい」

臨床研究に参加した男性。漢方薬やビタミン剤を飲んで、体調を整える治療を続けています。

コロナ後遺症患者 男性(40代)
「もうとにかく、何か一つでもいいから、分かることですよね。一番つらいのは先が見えないことなので。うまいこと、今後に活かしていけたらなと思います。科学のエビデンスの一つとして、今回の研究が何かの役に立ってくれたら」