両雄激突の舞台は、いつも国立だった

ヴェルディは高い位置でボールを奪うと、スルーパスに反応したカズが冷静にゴール右隅に決め、先制する。それまで、カズに決定的なシーンをほとんど作らせなかったエスパルス守備陣だったが、まさに一瞬の隙を突かれた形となった。

何とか追いつきたいエスパルス、再びヴェルディゴールに迫るが、コーナーキックからの攻撃もポストに阻まれ、左サイド・澤登のクロスからトニーニョのヘディングシュートは、ポスト脇をすり抜けていった。

放ったシュートは、ヴェルディ11に対し、エスパルスは16と上回りながらも、カズの1点に泣き、初代王者はヴェルディに輝いた。この決勝戦の熱気が、かつてないサッカー人気の起爆剤となる。

翌年開幕したJリーグ、両雄がタイトルをかけて再び戦ったナビスコカップ決勝、そして、30年前のきょう、12月1日に行われたリーグ戦セカンドステージの首位攻防戦も国立が舞台となった。そして、満員に膨れ上がった聖地で、エスパルスは苦杯をなめ続けた。

オレンジ軍団が初めて優勝カップを掲げたのは、それから3年後の1996年。雨に濡れた夜の国立、この時の相手も、緑の軍団。エスパルスとヴェルディは、違いなくJリーグ草創期の“主役”だった。

あれから31年。エスパルスは、2度のJ2降格を経験し、ヴェルディも15年、J1の舞台から遠ざかっている。国立競技場は大きく姿を変え、かつての黄金カードも、J1昇格をかける一発勝負となった。それでも、あえて、こう言わせてほしい。

国立には、「オレンジ」と「緑」が、よく似合う。