大統領が資料館にいたのはわずか10分間。また、資料館で何を見たのかも未だに明らかにされていません。当時、資料館の館長を務めていた志賀賢治さんです。志賀さんは館内で大統領を出迎えました。
(原爆資料館元館長 志賀賢治さん)
「正面に車が止まって、そこから入って、こう入って来られた」
大統領が見学したのは東館1階ロビー。大統領のために特別に入口から半円形に配置された展示物を見て回ったといいます。

(原爆資料館元館長 志賀賢治さん)
「いくつかの写真と被爆資料の十数点、それから最後は禎子さんが折った鶴。それを収蔵庫に収めてあった予備の鶴を全部出して、展示の最後に置いて」
佐々木禎子さんの折り鶴は大統領に直かに見てもらおうと、透明なアクリルの覆いを外したといいます。

(原爆資料館元館長 志賀賢治さん)
「明確に憶えているのは、折り鶴に腰をかがめて、その時間が一番長かった気がする。腰をかがめて、じっと見入っていた」
一方、大統領訪問が正式に決まったのが直前だったため、慌ただしく準備を進めたことが印象として残っています。
(原爆資料館元館長 志賀賢治さん)
「一番、苦労したのは、いつまでも全容が分からなかったこと。(見学)時間がほとんど取れないということも、当日か1日前かではないか。あそこ(東館1階ロビー)を展示会場として使うというのも、かなりギリギリだった気がする」
「十分に見ていただいたかどうかという、そこは不安が残っている」

大統領訪問から3年後の2019年に完成した資料館本館のリニューアル工事を担当した志賀さん。G7首脳には時間をかけて資料館を見てほしいと望んでいます。
(原爆資料館元館長 志賀賢治さん)
「原爆のきのこ雲をよく知っているという人はたくさんいた。しかし、きょう見せるのは、きのこ雲の下で何が起きていたかだ、と言って館内に入っていくと、次第に寡黙になっていって、中には、こんなことが起きていたとは知らなかったと言って帰る人もいる。広島で起きた出来事をしっかり見ていただきたい」
