戦力補強と若返りの行方

チームの戦略補強も進んでいる。

現役を引退した選手、戦力外通告を受けた選手、そして契約更新なく帰国した外国人選手、このオフも大勢がドラゴンズブルーのユニホームを脱いだ。

その一方で、百戦錬磨のベテラン・中島宏之内野手や、福岡ソフトバンクホークスで活躍した上林誠知外野手ら、4選手を獲得した。それぞれへの期待もある。

しかし、いずれも所属チームを"戦力外"になった選手であり、この2年間「若返り」を合言葉に歩んできたチーム作りとの整合性は、腑に落ちてこない。

プロは結果がすべてであり、杞憂に終わればいいのだが、将来に向けてのチーム編成の軸だけは、ぶれてほしくない。

主力選手の大いなる危機感

私たちファンだけではない。2年連続の最下位に、選手たちも相当な危機感を持っている。それは主力選手たちからの発言でも明らかだ。

エース大野雄大投手は「選手だけでなく、がらっと変わらんと勝てない」と、監督、コーチ、そして球団まで名指しした。

「サンデードラゴンズ」より大野雄大投手 (C)CBCテレビ

2000安打を達成した大島洋平選手は、若手の練習量が足りないとして「何のためにやっているのかよく分かっていないと思う」と断言した。

選手会長の柳裕也投手は、ファンフェスタでの挨拶で「応援していただけることは当たり前ではない」とチームを引き締めた。

本拠地ドームの観客数が増えたからといって、この成績で喜んでいる場合ではない。

最下位脱出への"よほどのこと"

今後、1年前には細川成也選手を獲得して大成功だった現役ドラフトがある。トレードもあるかもしれないし、さらなる選手の補強があるかもしれない。貧打に泣いたチームだけに「打てる外国人選手」の発掘にも期待がかかる。

ただ、1軍が借金26の最下位、2軍も借金37の最下位、そして、いずれも2年連続の最下位である。ここまで弱まったチームを上昇させることは、容易ではない。普通のことをしていては、到底無理である。

残念ながら、現状は"普通のこと"を超えるような、驚く変化は見えてきていない。

逆襲に向けての、ほとばしるパッション(情熱)が球団全体にほしい。

毎年のことながら、短いシーズンオフはあっという間に過ぎる。

3年目を迎える立浪ドラゴンズは、2月の春季キャンプ初日、どんな顔ぶれで、どんな熱量で、屈辱からの一歩を踏み出すのか。しっかり見守っていきたいと思う。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。