豆腐を売るだけではなく、見守りを通じた安心も届ける

見守り業務は、ボランティア。それでも、県内全域に「岡村とうふ」を届ける事につながっています。このあとも軽バンで、細い山道を奥へ奥へと進む吉田さん。
正午前にたどり着いたのは、奈良県との県境にほど近い、飯高町舟戸地区です。この日26人目のお客さんは、86歳の女性。
(26人目・86歳女性)
「若い人もいないし、空き家が何軒も増えてきた」
元は林業が盛んだった飯高町も、人口の54%が65歳以上。飯南町以上に高齢化や過疎が進んでいます。
(岡村とうふ販売員・吉田文也さん)
「住んでいない家もいっぱいある。家はあっても」
帰りは別のルートで、また1軒1軒家をまわって、豆腐を売ったり安否を確かめたりと、見守り活動を続けます。午後1時44分、42人目のお客さんは、2023年3月に足の骨を折ってしまったという86歳の女性です。
(42人目・86歳女性)
「大丈夫、もうぽつぽつ歩いとるで」
飯高町桑原地区は急峻な坂道の上にあり、高齢女性が1人で集落を出るだけでも大変な場所ですが、女性はここで暮らすことを望んでいます。
(42人目・86歳女性)
「よその人の子どもらが迎えに来るやん、施設に入れようと思って。『行ったらあかん』と皆に言っている。気楽、ものすごく気楽やで。いつ食べようと、いつ寝てもいい生活」
豆腐や油揚げだけではなく、時には長話で油も売っている吉田さん。でも、これが住民にとっても楽しいひとときとなっています。
(岡村とうふ販売員・吉田文也さん)
「先週調子が悪かったという人も、次の週に治っているかが分かるので、月に1回来て『どうですか?』という人より、断然僕らの方がお客さんのことは分かっている。そこは僕らにしかできないこと。1軒家があるだけでも行って、豆腐を届けるのが僕たちの仕事」
暮らしと安心を運ぶ、豆腐屋さん。山間の小さな過疎の町に今日もラッパの音が響きます。
CBCテレビ「チャント!」11月21日放送より