今季のメジャーの移籍市場で大谷翔平(29)に次いで注目されているのがオリックスからポスティングでのメジャー移籍を目指している山本由伸(25)。米メディアの報道ではFA注目ランキングで1位の大谷に次いで山本が2位に入ることも多い。日本時間20日には、フィリーズからFAとなっていた右腕A.ノラ(30)が7年総額1億7200万ドル(約257億円)でチームに残留。これにより山本の交渉にも影響を与えそうだ。
山本はプロ野球史上初となる3年連続投手四冠、3年連続沢村賞に輝いた日本のエース。加熱する山本争奪戦にMLBを長年取材しているシアトル・タイムズ ライアン・ディビッシュ記者(マリナーズ担当)は「今年の千賀の活躍を見れば、日本の先発投手は今、素晴らしいリソースだと思う。彼(山本)がトップクラスの投手になることは分かっていると思うが、非常に優秀な先発投手クラスだ。同時に、彼の年齢、経験、投球の選択、投球のレパートリーを見てほしい。つまり、多くの人が彼を非常に興味深いと思うだろう」と語った。
一方でThe Athletic / Fox Sports ケン・ローゼンタル記者は「WBCでしかみたことないけど日本で素晴らしい活躍を収めていることは知っている。彼は若い。みんな若い選手を欲しがっているが問題は体格が小さいことだ。右投手にとってはね。メジャーリーグではそれが常に疑問だ」と気になる点を挙げていた。
ニューヨークからラブコール
山本に熱烈なラブコールを送っている2球団がある。今季ナ・リーグ東地区4位のメッツとア・リーグ東地区4位のヤンキース、共に投手力に不安のあるチーム。山本獲得で“サブウェイシリーズ”(ニューヨークに本拠地を持つ両チームの対決)になりそうだ。
ニューズデイのデービッド・レノン氏は「(来季は)先発投手は2人しか戻ってこない。そのうちの1人が千賀だ。エース級の先発投手は本当に必要なんだ。山本は千賀と一緒にプレーするのが好きだったと聞いた」と話し、さらに「千賀も欲しいと思っていると思う。千賀はベストを尽くしチームに山本を迎えたいと言っていると思う」と今季12勝を挙げて、ナ・リーグ新人王候補にも挙がった千賀の成功が後押しになっていると強調した。
それに対し、「ブライアン・キャッシュマンGMがシーズン終盤に彼がノーヒットノーランを達成するのを見たことは誰もが知っている」と話したのはニューズデイのヤンキース担当、エリック・ボーランド記者。GMは山本が9月9日のロッテ戦で2年連続ノーヒットノーランを達成した試合を直接球場で観戦していたことを挙げ「ヤンキースが興味を持っている球団の上位にいることは間違いない。しかし、フィリーズが非常に興味を持っていることは知っているし、ドジャースも非常に興味を持っている」と口にした。
しかし、日本時間20日、山本に興味を示していたフィリーズが今季12勝を挙げてFAとなっていたノラ(30)と7年総額1億7200万ドル(約257億円)で合意、引き止めに成功した。フィリーズは山本獲得に一歩後退したとみられ、さらに米メディアはノラの1年約2460万ドル(約36億7000万円)の金額は、ノラよりも高い評価の山本の交渉にも大きく影響してくると伝えている。
交渉は22日から始まる見込みになっている。