自覚症状はありませんでしたが、すぐに2週間入院することになり、初めて口にした治療食は…

酒井社長:
「一食これかっていう。量が圧倒的に少ないのと、味がまあ薄いのと、見た目とか彩りとか、食事の時間を楽しいとか楽しみって思えるようなものではなかった」

食べすぎや運動不足、加齢などが要因となり、血液中の糖が増えてしまう糖尿病。放っておくと心臓病や、失明、腎不全、足の切断など重い合併症につながります。一度発症すると完治しないといわれていて、治療の柱は「食事療法」。カロリーや塩分量などを考えた適切な食事を続ける必要があります。

当時、別の宅配弁当の会社で働いていた酒井さん。糖尿病になっても、食事を楽しいものにできないか。その思いで診断からわずか2か月で退職し、翌年、このデリサンテをオープンしました。

デリサンテの一番のこだわりは味付け。管理栄養士が塩分などを徹底管理していますが「うす味」になりすぎないよう、企業秘密という出汁やスパイスで工夫していて、価格は配送料込みで一食890円です。

弁当は、毎日昼と夕方に酒井さんと調理スタッフが利用者の自宅に直接届けています。

60代から70代の高齢世帯を中心に、これまでのべ150人ほどに利用され、治療食を用意する負担が軽減できると喜ばれてきました。

酒井社長:「いただきます」

酒井さん自身も、会社を立ち上げてから毎日この弁当を食べていて、90キロあった体重は今や70キロを切るまでに。血糖値も薬で規定値に抑えられているといいます。

酒井社長:
「人にとって食べるということは楽しい時間でありたい、あってほしいという思いがありますので、楽しくおいしく、そう思っていただける存在でありたい」

宅配弁当店デリサンテの宅配弁当は、患者さん限定ではなく、食生活を見直したい方や純粋に「宅食」として利用することも可能です。宅食は、高齢者の自宅をまわり地域を見守る福祉的な面もあり、いま、注目が集まっています。