捨てられていた端材も質の高い家具に
そして今、取り組むのが、カラマツの中でもこれまでは廃棄されることが多かった部分の活用。
用途に合わせてカットした時に出る、いわゆる「切れ端」を接着して作られた木材です。
安曇野市穂高(ほたか)にある工房では、3人の木工職人が、家具の制作にあたります。
ベテランの職人桐畑周(きりはた・まこと)さんが担当するのが、そんなカラマツ材を使った椅子の制作です。
桐畑さん:
「この『冬目』っていう色の濃い所と『夏目』っていう白い所の硬さの差が激しくて、スポンジみたいになってるので、爪でこうやると跡がつくぐらい柔らかい。こっちはカチカチなので、これを削ろうとするとガタガタってなっちゃうんですね」
『難敵』に挑めるのは、職人の技術があってからこそ。
前田大作さん:
「これ、もしかしたら自分たちにしかできない強味なんじゃないか、これが加工できること。それを形にして素敵にできるデザイン。それが合わさったときに、ただゴミになっていたものが、格好よくなるっていう」
廃棄されてきた木材を使った高品質の椅子作り。
試行錯誤を続ける中で、前田さんは、カラマツを使うメリットに気付きます。
それが軽さです。
およそ2年をかけて完成したアームチェア。
接着した木材の弱点を補う知恵が詰まっています。
前田大作さん:
「金属のプレートが入っていて、上からは見えないですけど金属のプレートが入っていることによって、単純にこれは折れないようになってるんですけど、ここに僕たちのデザインとか意志が、ものすごく濃く込められている」
前田さん:
「あの周りに残ってるカラマツで(樹齢は)どれくらいですか?」
時間ができると前田さんは、森に足を運びます。
森を守り、その資源を生かそうと植林などの取り組みも始めています。
思いを共有する人たちと目指すのは、『木を使う社会の仕組みづくり』です。
原薫さん:
「森林の働きって、木材を生み出すだけじゃないんですね。それ以外のところもすごく重要なので、どんな選択をしていくのがSDGSの、みんなが幸せにみたいなところに行くのか考えていければ」
前田大作さん:
「これからギアを上げて、今例えば僕たちが植えたカラマツが30年後に一定の太さになったとき、その木がどんな姿、形であっても使いこなせるようなメーカーになっていたい」














