総理が明言した「来年賃上げ」実現の根拠は?

総理は会見中「賃上げが物価上昇に追いつく」と明言しました。
なぜ明言できるのか?という問いに対し、永濱利廣氏は「エコノミスト」が出した消費者物価指数の見通しを予測したデータを引用し、

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏
「来年度の後半は2%を下回ってくるので、今年なりの春闘が来年も続けば名目の賃金って2%くらいに行くような計算になる」
と説明しました。

しかし総理が使った「一時的な措置」という言葉に対しては、

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏
「実は経済って人の気持ちが関わるから、同じことを言うにしてもしゃべりかたによって効果が 変わってくる。」

と、消費者の心理について触れた上で、

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏
「今回何が不満だったかというと『一時的な措置』と言ったこと。こう言っちゃうと効果が出ない。
一時的って言うと(消費者の心理としては)『今回1回きりじゃん、だったら貯めちゃおう』ってなる。(データが)『物価が下がってきて賃金が物価に追いつく状況になる』って言っているのであれば『賃金が物価上昇に追いつくまで減税をやります』って言った方が、結果的に同じ1回だったとしても後者の方が絶対に経済効果高いんですよ。だからそっちの方がよかった。
ただ不確実なんでそういうふうに言わなかったのかなと。」

と総理の言葉の選択と慎重姿勢について疑問を指摘しました。

また、賃上げの見通しについては、

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏
「春闘しだいですね。そこはちょっとやってみないとわからない。ただ少なくとも40年ぶりの世界的なインフレが起きたことによって企業もそれなりに値上げができてきているわけじゃないですか。
となると明らかにそれ以前に比べたら企業のマインドも違ってくることは確かで、すでに来年の春闘の賃上げ率を7%上げますと言っている企業がぽつぽつ出始めている。」

と、賃上げの気運が上がっている事実を認めました。その一方で、

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏
「中小企業にも(賃上げを明言する企業が)出てくるかは今後の景気次第」

また、伊藤淳夫氏は

政治アナリスト 伊藤淳夫氏
「ボーナスもらえない人がサラリーマンですら3割いる。個人事業主は一切ボーナスない。実感できる人は全体の数で言ったら実は限られてるんだろうなと思う」

と、今回の政策の恩恵に預からない「はざまの所得層」の存在を指摘。これに対し永濱氏は、

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣氏
「ボーナスで戻せない人は毎月の給料の所得税のところで戻していくことになると思う。前回の定額減税のときはそうでした」

と、述べました。

(2023年11月3日放送「ひるおび」より)