10月22日投開票の衆議院・長崎4区と参議院・徳島・高知選挙区の補欠選挙は、自民党の一勝一敗に終わった。この結果は岸田総理の描く解散戦略に影を落としたともされている。
永田町で"選挙の神様"と呼ばれ、自民党でおよそ40年選挙対策を担ってきた久米晃・前事務局長。
補選の結果を踏まえ、岸田総理の解散戦略の見立てを聞いた。
補選 衆参ダブル選挙 1勝1敗 長崎苦戦の理由と勝因は「低投票率」?

岸田総理は、投開票結果が出た翌日、年内に衆議院を解散する考えがあるか問われ、「先送りできない課題に一つ一つ向き合い取り組む、今はそれに専念すべき。
それ以外のことは、今は考えていない」と述べた。
久米氏は、強固な保守地盤である長崎で苦戦が強いられた要因について、「内閣支持率の急落も影響した」と分析しつつ、政権のメッセージの打ち出し方に問題があると指摘する。

―長崎4区が苦戦した理由。国政の状況は影響したと考えるか?
「選挙途中に、内閣支持率が急落し、そこから自民党金子陣営の危機感が現れてきたし、世論調査でも「ほぼ互角」。内閣支持率もそこそこ影響したと思う」
―政権の打ち出し方に課題が見えてきた?
「唐突に増税議論があったと思えば急にね、減税の話をしたり、みんなが「へえ~」みたいな話で、有権者が関心を示さなかったのでは。言葉だけで言われても実感しない」

「選挙は、夢と展望を訴えるもの。それに対する投資が票」
では、岸田総理は解散を打つことができる適切なタイミングとはいつなのか?久米氏は一貫して早期の解散はないと強調する。
―岸田総理の解散戦略に関して、久米さんの見立ては?
「選挙ってのはね、夢と展望を訴えて、それに対する投資が票ですよね。ですから、これから何をするかっていうものがなければ解散を打てないと思いますね。岸田総理はね、諸課題に取り組むと、一つ一つの結果を出すとおっしゃっているわけじゃないですか。その結果が出ないのに、有権者に一体何を訴えるのですかって話になりますよ。だから私は解散できない、ありえないと言っているわけですね」