採卵に副作用、凍結時の年齢によって出産の確率に変化も

藤森祥平キャスター:
卵子凍結をする際、最大30万円の費用を助成するという東京都。この支援を受けるには、都の説明会に参加することなどが条件ですが、申し込み人数が受け付け開始から、1か月で3914人に上っているそうなんです。(9月25日~10月24日まで)かなり関心は高いようで、東京都は説明会の回数を増やして対応をしているということです。

岡村仁美記者:
なぜ卵子凍結をするのか?お話を聞いた吉田楓さんは現在30歳ですが、29歳の時に留学したいと思い、卵子凍結について考え始めます。そして30歳で卵子凍結を行い、2024年、31歳で海外に留学する予定。その後、35歳くらいで一人目を出産できたらいいなと、ライフプランを考えているそうです。

ほかにも卵子凍結をする女性からは
「卵子凍結をすれば急いで結婚しなくてよいと思った」
「そもそも子どもを持ちたいかわからないが、出産する可能性を残しておきたい」
という様々な声が聞かれました。
トラウデン直美さん:
私の周りでも卵子凍結について、関心が高まっているなという実感はあります。「いつか子どもは欲しいけれど、今はまだタイミングではない」「今は子どもが欲しいと思わないが、将来、欲しくなるかもしれない」など様々な理由があるので、子どもを産む可能性が広がるのは良い状況だと思います。
しかし、卵子凍結をしたといっても100%子どもが出来るわけではないですし、卵子を採取するにあたって体に変化が起こるかもしれないことは知っておかなければなりませんね。
藤森キャスター:
卵子凍結をめぐっては課題もあります。まずは費用です。お話を聞いた吉田楓さんの場合、卵子凍結をするまでに約50万円。その後も保管料として1年間で5万円ほど払っています。

また、凍結時の年齢によって出産にいたる確率も変化します。凍結卵子10個で、出産にいたる確率は▼25歳 80.8% ▼30歳 69.9% ▼35歳 58.0% ▼40歳 46.1%というデータもあると言います。
小川彩佳キャスター:
こうしたこともしっかり考えないといけないという意味で、東京都は説明会を実施しているんですね。
岡村記者:
リスクも知ってほしいということです。そのリスクで言うと、一度に多くの卵子を採取するため排卵誘発剤を使うのですが、お腹が張る・水が溜まるなど副作用が生じる場合もあります。

卵子凍結は、例えばがんの患者さんが治療の前に行うなど、医学的に必要な場合にも行われています。日本産科婦人科学会は、そうではない健康な女性の卵子凍結について「推奨しない」としています。その理由として「高齢出産では母体と赤ちゃん両方のリスクが高まる」ことなどを挙げています。

グレイス杉山クリニックSHIBUYA 岡田有香院長は「卵子凍結をしても100%妊娠ができるということではない。まずは自分のライフプランを考え、若いうちから婦人科にかかって、自身の体について考えてほしい」と話しています。
小説家 真山仁氏:
再生医療をテーマにした小説を書くために、生命科学の先生に取材をしたことがあります。
世界は様々な分野で先端技術が発達していて、だんだん人間の限界を超えていくかもしれないそうです。特に生命の問題については、その限界を超えているのではないかと思います。
「技術があれば選択肢が広がる」というのは、非常に合理的ではありますが、もう少し社会的な議論があった中で進めてほしいですね。私の偏見かもしれませんが、技術があるから、世界がやっているからというのは、まだ少し違和感があり、頑張ってとは言えない気がしています。
トラウデン直美さん:
私も以前は、自然な流れと違うことをするのは、どうなのかなと思っていました。しかし、子どもを持つということを考える年齢になった今、そうも言っていられないなという気持ちになりました。また、不妊治療で大変な思いをしている方々もいらっしゃいます。実際に体外受精で生まれた子どもたちもいて、その子たちには何て言えばいいのかなと考えると難しいですね。
※動画内で紹介したアンケートは26日午前8時で終了しています。