シリーズ「現場から、」です。子どもの7人に1人が「貧困」と言われる中、家庭の事情で塾に通えない子どもたちに教育と食事を提供する「無料塾」が北九州市に開校しました。ボランティアで講師を務めるのは、自らも家庭の事情で塾に通えなかった高校生たちです。

土曜日の夕方、子どもたちが上る階段の先にあるのは「学習塾」です。ただし授業料は無料、さらにカレーやカップ麺も提供するなど学習と同時に食事の支援も行っています。

フードバンク北九州ライフアゲイン 原田昌樹さん
「誰もが自由に、家でできなかったらこちらに来ればいい。軽食も用意しているから、おなかがすいたら食べたらいいよと」

1人親世帯など経済的な事情で、塾に行きたくても行けない小・中学生を受け入れようと始まった「無料塾」ですが、講師の数の問題などから現在の定員は16人、キャンセル待ちの状態が続いています。

これは文科省が発表した公立学校に通う子どもを対象に学習塾や家庭教師にかかった平均費用を調査したものです。中学3年になると、その費用は年間36万円を超えています。

高校3年の古藤優菜さん(17)。「無料塾」でボランティア講師をしています。講師に応募したきっかけは、自身が父子家庭で育ち、塾に行けずに悔しい思いをしたことでした。

ボランティア講師 古藤優菜さん
「うちが3人きょうだいで父子家庭なので、おばあちゃんに頼って(塾代の)お金を出してもらっていて、(塾に行っていない時は)解けない問題があると泣いていた。そういう子がいなくなればいいかなと思って始めました」

高校2年の櫻内愛大さん(16)も自分が育ってきた環境からボランティア講師に手を挙げました。

ボランティア講師 櫻内愛大さん
「中学校とか高校にあがった時に塾が結構お金がかかることだと知って、うちが4人きょうだいで母子家庭なので、塾に行きにくい子の力になりたいと思って」

家庭環境による学習格差を無くそうと、こうした「無料塾」は全国的に増えてきてはいます。

しかし、子どもの7人に1人が「貧困」といわれる中、経済的な理由などから学習意欲を奪われてしまっている子どもは少なくありません。

フードバンク北九州ライフアゲイン 原田昌樹さん
「子どもたちの悩み、それが非行であったり、不登校であったり、リストカットであったり。その親子とつながり、その子どもを大切に扱って、なんとか(問題が)出てくる前に関わって予防的な関わりができたら」

格差社会が生み出す負の遺産をこれ以上、子どもたちに押しつけることがないよう、いまこそ貧困の連鎖を断ち切らなければなりません。