最高裁大法廷は先ほど、戸籍上の性別を変更する際に今の法律では生殖能力をなくす手術を必要としている規定について、「違憲」とする初めての判断を示しました。
身体的、経済的な負担から性別適合手術を断念するトランスジェンダーの人たちに、新たな選択肢が生まれる可能性が出てきました。
これは、戸籍上は男性で、女性として社会生活を送る当事者が戸籍上の性別を女性に変更するよう求めた家事審判に対する決定で、最高裁が示したものです。この当事者は、性同一性障害と診断され、ホルモン投与を受けてきましたが、身体的、経済的な負担が出る性別適合手術は受けずにいました。
戸籍上の性別変更について定めた性同一性障害特例法では、変更の際に5つの要件を定めています。
要件では、▼生殖能力がないこと、▼性器の外観が変更後の性別のものに似ていることを定めていて、事実上、性別適合手術を受けることが必要となっています。このため、当事者は1、2審で性別変更を認められませんでした。
最高裁で、当事者側は手術を強いる規定が「人権侵害で憲法違反だ」と訴えていました。
最高裁はきょうの決定で、生殖能力について定めた規定は「憲法13条に違反し無効」と判断。一方、性器の外観について定めた規定については判断せず、審理を高裁に差し戻しました。生殖能力については、15人の判事全員一致で違憲としています。
■手術規定は「過酷な二者択一を迫るもの」
最高裁は、生殖能力について定めた規定を違憲とした理由について、「規定は憲法13条が保障する『自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由』を制約するものであるところ、特例法の制定当時に考慮されていた制約の必要性は、諸事情の変化により低減した」と指摘。
そのうえで、規定は当事者に「強度な身体的侵襲」である手術を受けることを「甘受」するか、「性自認に従った法令上の性別の取り扱いを受ける」という重要な法的利益を放棄するかの「過酷な二者択一を迫るものになっている」と判断。「制約は重大であるから、憲法13条に違反し無効である」と結論づけました。
最高裁は2019年にも、生殖能力がないことを定めた規定について憲法判断を示していますが、このときは「現時点で合憲」としつつ、「社会の変化に伴い変わる」として「合憲かどうかは継続的な検討が必要」とも指摘していました。
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