一般のドライバーが、自家用車に有料で客を乗せる「ライドシェア」の導入を検討している神奈川県などが具体案を示し、タクシー会社などから意見を聞きました。

神奈川県内では、三浦市で夜間に利用できるタクシーが不足していることから、県と三浦市などは、一般のドライバーが自家用車に有料で客を乗せるライドシェアの導入を検討しています。

きょう、神奈川県庁で「ライドシェア」の導入を検討する第1回の会議が開かれ、地元のタクシー会社や国の担当者なども出席して、タクシーが不足している状況や課題の内容が共有されました。

また、県によるライドシェアの案も示されました。それによりますと、時間帯や地域を限定して、タクシー会社の面接を経て、研修を受けた一般のドライバーが自家用車に有料で客を乗せることが想定されています。

ライドシェアに使う車の点検などの安全管理についても、タクシー会社が担うことになるということです。

こうした県の案について、三浦市のタクシー会社からは「夜間のタクシー不足は三浦市だけの事情で、県内のほかの自治体には当てはまらない」としたうえで、「夜間に運転手を長い時間待機させるのに見合うだけの需要がない中で、ビジネスとして成り立つのか」といった意見がありました。

また、別のタクシー会社からは「(タクシーの運転などに必要な)2種免許を持たない一般ドライバーを使うにあたって、タクシー会社の責任があまりにも大きい」と慎重な声も上がりました。

神奈川県の担当者は、「神奈川版のライドシェアは、タクシー会社の協力なくしてはできない。ドライバーの安全確保など、いただいた意見をもとに、地域に最善の選択肢を幅広く検討していきたい」としています。

一方で、全国のタクシードライバーでつくる労働組合は、「利用者や地域住民の命を危険にさらし、公共の福祉に反する」として、撤回を求める要望書を神奈川県に提出しました。

また、タクシー業界の支援を受ける自民党の議員連盟も「安全性の確保に課題がある」などとして、反対を表明しています。