■「生まれたときから虐待」「貧しかった」脱獄犯みたいに、逃げた


「ちなみに私は親に心配されません。施設で育ったんで」

「見捨てられてるぅー」「見捨てられてるやんー」など一緒にインタビューを受けていた他の若者たちのちゃかす声が飛び交う。しかしそんなことは気にせず、少女は話を続けた。

「脱走犯みたいに、逃げた」少女が自分の境遇について語り始めた・・・


「施設で殴られて。児童相談所側も、なんかしょうがないよねみたいな感じだったから。みんなが寝てる間に施設から逃げて、脱獄犯みたいに。

施設に入ったのは、親がDVだったからです。もうちっちゃい頃からで、それが普通なのかなと思ったら、中学ぐらいになったときから、なんかちょっと違うなと思って、人と。

貧乏だったから、家が。修学旅行とか、遠足みたいなのも、お金ないからもう休んじゃえばみたいな感じで。

学校も、もう行かなくていいんじゃないかなって思うようになって。だから行くふりして、海が近かったから、海で、1人で何か本読んでるとかが多かったです」


少女が話す間、周りの若者は「脱獄犯っ」「かわいそ〜」など軽い合いの手を入れ続けて、にやにやしていた。私は少女に質問を続けた。

ーートー横を見つけて、来るようになって、気持ちは変わりましたか?

「気持ち・・・気持ちはどうなんだろう。居場所はひとつできたけど、その分いろんな負荷がかかっちゃって、病んじゃってる子とかもいるから、向いてる子と向いていない子がいるんじゃないかな」

ーー負荷ってなんですか?

「私みたいに、こうやって殴られちゃったり(腕の傷をみせる)、援交しちゃったり、パパ活とかしちゃったりしてる子に関しては、メンタルとかがやられちゃって。

なんとも思わない子もいるんですよ。ただのバイトだみたいに思ってる子もいるんだけど」


ーーそれでもここにきているのはどうして?

「やっぱ居場所があるから。仲いい子とかができて、居場所ができたから、ここに集まって、やっぱ会いたくなっちゃうから。それで何回も何回も来ちゃう」

いつしか周りの若者たちは少女の話にちょっかいを出さなくなっていた。私は、グループ全体に、一番聞きたかった疑問を投げかけた。