東京・新宿歌舞伎町の「トー横」で活動するボランティア団体の会長の男が少女にみだらな行為をしたとして逮捕された。被害にあった少女は誘いを断れなかった理由について「居場所がなくなると思った」と話した。危険と隣り合わせにもかかわらず「トー横」に集まる若者たち。彼らが求める居場所とは一体どんなものなのか?なぜそこまで渇望するのか?
■「めんどくさーい」トー横に集まる若者の本音は?

新宿・歌舞伎町の中心にある新宿東宝ビル。その周辺は「トー横」と呼ばれ10代、20代の若者のたまり場になっている。トー横の若者たちはなぜここに居場所を見出しているのだろう。地べたに座り込み談笑する若者たちの集団。近づきがたさを感じていると、女性3人、男性1人のグループが私たちのほうに歩み寄ってきた。取材の意図を説明すると「いいですよ」と、予想より軽いトーンで話し始めた。
ーーなぜここに集まっているんですか?
「帰るのめんどくさいんですよ」
「友達と居たいから。ただの友達とのお泊り会と一緒ですよ」
ーー家に帰りたくないのはなぜですか。
「めんどくさーい」
「家に帰りたくないわけじゃなくて、普通に家に帰るのがめんどくさい」
ーーこの場所ってどういう存在ですか。
「たまり場」
「暇つぶしの場所」
「たまり場、たまり場」

話を聞きながら正直面食らった。若者はこの場所の危険性を認識せずに「帰るのが面倒」という理由でトー横にたむろしているのだろうか。思わずマイクを握る手に力が入る。
ーーでも、親は心配しないのですか?
「え、してますよ。当り前じゃないですか」
「する、する」
「学校だけはいけよって感じ」
若気の至り。怖いもの知らず。そんなことを感じ、何か大人としていうべきことがあるのではないかと考え始めたときだった。それまで寡黙だった少女が口を開いた。