クマによる人身被害が過去最多ペースです。“関東でも”小中学生にクマよけグッズを配布する地域も。
エサとなるドングリが不作で、行動範囲が拡大…住宅街にも出没します。改めて身を守る方法を確認しましょう。
「関東でも紅葉・キノコ狩りなど山に行くときは要注意」

南波雅俊キャスター:
クマによる人身被害が年々増加しています。統計を取り始めてから過去最多だった2022年度は158人で、9月末時点では86人でした。しかし2023年度は9月末時点で109人となっていて過去最多の2022年度よりもかなり多くなっています。
クマの生態に詳しい森林総合研究所四国支所長の岡輝樹さんによりますと「関東でも紅葉・キノコ狩りなど山に行くときは要注意」と言います。

環境省の資料によりますと、北海道はヒグマ、北海道以外はツキノワグマが生息しています。
ヒグマ:体長220~230cm・体重150~250kg
ツキノワグマ:体長110~150cm・体重80~120kg

関東では日光や草津、秩父や奥多摩など、都心からでもアクセスは悪くないところに生息しています。東京でも高尾山近くなどで目撃情報がありました。東京都環境局によりますと2023年度はすでに100件も情報が寄せられているそうです。

埼玉県秩父市では、山ばかりではなく、平地でも目撃されるなど、2023年度の目撃情報が過去最多となっています。子どもたちへの対策として全ての小中学校に鈴やホイッスルなどを配布しました。全ての小中学校に配布するのは初めてだそうです。
ホラン千秋キャスター:
人が山に行くことが増える季節なので注意が必要ですね。
若新雄純 慶応大学特任准教授:
私の地元では「害獣駆除」を仕事にしている友達がいるので、複雑な思いがあります。人間に害を与える「害獣」ですが、そのクマちゃん達からすれば、今まで過ごしていた場所に人間が建物を建てたり、地形を変えるなど、人間の都合で土地を切り開いて生活しているので、迷惑なのはお互い様だと思います。
だからといって人間中心の生活を手放すことはできません。それならば、なぜ人間の生活圏に来てしまったのか、エサが足りないのか。土地開発のせいで生きづらくなっているのなら、安心して暮らせるような環境づくりはできないか考えないといけないと思います。人間だけが被害を受けているように見えますが、実はクマは人間にびっくりしたり、遭遇したら戦わざるを得ないのかもしれません。
ホランキャスター:
クマだけではなく、世界中でありとあらゆる生き物の生活圏を人間が侵略してしまっています。
若新雄純 慶応大学特任准教授:
どこかでしっぺ返しが来ると思います。それを「被害」という言葉でまとめてしまっていいのでしょうか。