被告の男「母親への当てつけに、立場の弱い女児を虐待し殺してしまった」
公判3日目――。
被告人質問で証言台に立った男は、弁護人の
「今回の事件であなたができたであろうことは」
と問われると、
「僕が手を出さなければ。母親と別れていれば。母親と出会わなければ――。」
と答えました。
続けて「なぜそれが出来なかった」と問われると、
「僕の心が弱かったから、関係が悪化していた母親への当てつけに立場の弱い女児を虐待し、殺してしまった」と嗚咽しながら答えました。
また検察官から、女児を押入れに閉じ込めた理由について質問されると、男は神妙な様子で当時を振り返り、こう答えました。

「母親の反応が薄かったので、気を引くように安易な考えで入れた」
母親との関係が悪化するなかで、あてつけの感情を、わずか5~6歳の女児に向け、虐待を徐々にエスカレートしていった男。
「胸が痛むことがなかったのか」
との検察官からの質問に対し、
「日常的に行っていたので、感覚がおかしくなっていた。今となっては人として間違った行為だった」と、言葉少なに反省の弁を述べました。
「男の姿を見ると女児は直立不動に」植え付けられた恐怖と絶望感
その後の論告・求刑で検察側は、「繰り返される虐待によって、女児の体と心には深い傷と恐怖が植え付けられていた」と指摘しました。
・男が来ると直立不動になる姿――。
・椅子の上で寝てしまい、頭から落下した後でも自ら椅子の上に戻る姿――。
・どんなに泣いていても、男が5秒数える間に泣き止む姿――。
「これらは女児が追い詰められて男を極度に畏怖し、本来の無邪気な自分を失うほどの状態であった」とし、さらに
「女児の魂は、虐待により何度も死んでしまったと言っても過言ではない」と、男の犯行を厳しく非難しました。
検察は懲役18年を求刑 弁護側は懲役8年が妥当と訴える
検察は
「交際相手へのあてつけの感情を、無関係な女児に向けた残酷非道な犯行」
「連日昼夜を問わず虐待が繰り返され、まさに拷問と評すべき」
として、懲役18年を求刑。
一方の弁護側は
「母親に生活費を依存され、しつけも任されきりだった」とした上で、
「被告はカメラに映っていない虐待行為など、不利なことも含めて事件の事実関係を明らかにしており、反省は真摯である」
などと述べ、懲役8年が妥当と主張しました。














