公判2日目 母親から語られたこと「ごめんね、と言いながら叩いた」

公判2日目――。法廷には、男とともに逮捕された女児の母親の姿がありました。「被告」となったかつての交際相手を前に、母親は男の虐待の常習性を証言しました。

「フライ返しを使って娘の体を叩いたり、布団叩きで頭や体を叩いたり、延長コードを使って体に巻きつけたりもした」

「夜3人で山に行って、娘だけを車から降ろして、『走ってください』と言って車のあとを走らせた」

「布団叩きで(娘を)叩くことを強要されました。『ごめんね』と思いながら叩きました」

母親「男の精神的な支配下にあって、犯行を止められなかった」

一方で、なぜ虐待を止めなかったのかと問われた母親は、無言になった後、

「精神が崩壊していたと思う」
と答えました。

ただ、男の弁護人からの質問には態度を一変させ、
「黙秘します」
「お答えできません」
と冷たい口調で繰り返しました。

母親は男とともに逮捕されたのち、男と共謀して虐待の末に娘を死亡させたなどとして逮捕監禁致死罪などで起訴されています。

しかし、現在、母親は「しつけを頼んだことはない」と訴え、犯行への関与の度合いについては、争う姿勢をみせているといいます。

男の裁判に証人として出廷したものの、母親の裁判自体は男と分離され、今後別々に審理されることとなっています。

母親の弁護人によると、「男の精神的な支配下にあって犯行を止められなかった」とも述べるなど、法廷で、犯行に対する認識の差が浮き彫りになりました。

母親「助けてあげられずごめんね」「娘を返して欲しい」

弁護側によると、交際当時に母親は生活保護を受けていたにもかかわらず、その金を使い果たし、不足分は男に負担してもらっていたといいます。その額は約240万円にも上っていました。

男の裁判が始まる前、母親は検察の調べに対し、

「子どもに対する男の虐待はずっと嫌だった」
と述べ、

「男から借金を返せと言われても無理なので、別れを切り出せなかった」
とも話していました。

ただ一方で、
「(男が)本当にいなくなると寂しいという愛情があった」
とも供述したといいます。

証人尋問で、検察側の
「亡くなった娘や、男に対して何か思うことはあるか」との質問に対し、母親は

「助けてあげられなくてごめんねという気持ちです」
と深い後悔を口にしました。

しかし、男に対しては、
「憎しみもあれば、正直どういう刑になろうと私には関係ないし、どうでもいいことです」と述べ、最後に

「でも、娘を返してほしい。ただそれだけです」
と証言しました。