天皇皇后両陛下は15日午後、特別機で石川県の小松空港に到着したあと、金沢市で開かれた「いしかわ百万石文化祭」の開会式に出席されました。

【天皇陛下おことば全文】
第38回国民文化祭、第23回全国障害者芸術・文化祭「いしかわ百万石文化祭2023」の開会式に、皆さんと共に出席できることをうれしく思います。

石川県は、三方を日本海に囲まれた能登と、霊峰白山を仰ぐ加賀という、二つの特色ある地域から成り、その美しい自然風土と長い歴史を背景に、多彩な文化を育んできました。江戸時代には、加賀藩が文化を奨励したことにより、九谷焼や加賀蒔絵、金箔などの多くの伝統工芸が発展し、現在へと受け継がれるとともに、「加賀宝生」と称される能楽、邦楽などの伝統芸能や、茶道、華道に代表される生活文化、さらには、豊かな庭園文化が育まれ、今に息づいています。

また、県内各地域において、人々の暮らしの中で長い年月をかけて形づくられた里山里海や豊かな食文化なども、石川の文化に一層の深みを加えています。

この個性ある多様な文化が育まれた石川の地で、全国各地、さらには海外からも、様々な文化芸術活動に取り組んでいる方々が集い、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭が開催されることは、大変意義深く、関係者の皆さんの尽力に対し、心から敬意を表します。

石川県においては、平成4年に第7回国民文化祭が開催され、当時、私も開会式に出席し、県内各地の様々な催しを見たことを懐かしく思い出されます。今大会では、石川県が有する多彩で多様な文化の魅力が発信されるとともに、県内各地域でそれぞれの特色を活かしながら、障害のある方もない方も、世代や地域を超えて交流し、共に楽しみ、感動を分かち合えるような催しが実施されると聞いています。

このような取組が、地域に息づく伝統や文化の良さを再認識する機会となり、文化芸術活動の裾野を広げ、新たな文化の創造につながっていくことを期待しています。

終わりに、「いしかわ百万石文化祭2023」が大きな成果を収め、国内外の文化芸術の更なる発展に寄与することを願い、私の挨拶といたします。