「永瀬前王座は、これからもずっとライバル」
Q.向かうところ敵なしの藤井八冠ですが、倒せる人は出てきますか?
「今の段階では、ここまでタイトル戦を戦ってきたトップ棋士の方たち、永瀬前王座は、これからもずっとライバルでい続けると思います。そして、同世代の棋士も出てきたんですね。伊藤匠さんという竜王戦で戦っている対戦相手はね、長い戦いになると思います。そして、今回、八冠を達成したということで、必ず藤井八冠を目標に将棋を覚えたり、棋士を目指したりという少年少女が多く現れるはずなんですね。ですから、ゆくゆくはそういうお子さんたちがライバルになってくる可能性はありますよね」
Q. 同世代、または次世代の「藤井さんキラー」がもしかしたら生まれるかもしれない?
「将棋界のレベルはこれで間違いなく上がると思います」

Q. 注目度も上がっています。後はこの藤井八冠時代をどれだけ続けられるのかということなんですけども。羽生さんでも1年もたなかった。どうですか?
「まず本人は、そこに興味がないような気がするんですね。別にすぐに取られてしまっても、なんとも思わないというか。それは自分の実力が足りなかったからだと思うようなタイプなので、そこまで 『八冠を守らなければならない』っていう気持ちには絶対なっていないです」
Q.先生だったらどう思います、八冠とったら?
「そもそも取らないからあんまり考えても、しょうがないんですけど(笑)」
Q.そんな大前提やめてくださいよ(笑)
「もしもタイトルを持っていたら、どうしたら守れるだろうって。1日でも長く持っていられるだろうかなって考えます」
Q.でも、そう考えないのが藤井八冠ですね?
「うん、いいところですね、だからこそ長く八冠でいるような気がします。しばらくは、彼のタイトルを奪える人は出てこないような気がします」

Q.しばらくっていうのは、具体的な年数とかってどのぐらいですか?
「これはちょっと誰にもわからないですよ。羽生さんの時も『羽生七冠の牙城を崩せる人はしばらく出ないんじゃないか』って言われていましたからね。でも、誰かが出てくるものだから、藤井八冠が誕生したということで、思わぬ人が、若手かもしれません。出てくる可能性はあると思います」
Q.盤石の時代が続く、とは限らないってことですね?
「でも、それはそれでまた面白い時代なのでね。それを藤井八冠も期待してるような気がしますけどね」
(10月12日、杉本八段の講演先の神戸市内にて)
