事件のあと「みんな涙をこらえて(アニメを)作り続けた」

検察官「誰か出てきましたか」
八田社長「全然でしたね…全然でした。時が経つに従って、1人ずつ、ご遺体が搬出されていきました。ずっと見ていました。『誰か元気な人が出て来ないのか』と思って」
時折涙ぐみ、言葉を詰まらせながらも語った八田社長。法廷にいた遺族や関係者からも、泣いているような様子が見られた。犠牲になったのは社員の実に2割。ひと月に2本作っていた作品は「1本作るのが精一杯になった」という。売り上げも半分以下になったというが、それでも「みんな涙をこらえて作り続けた」と明かした。
犠牲となった社員36人は、北は北海道、南は鹿児島、全国各地から京アニで働くことを夢見て集まった優秀な人材だったという。八田社長はそんな部下たちについて、「将来について夢を持つ人ばっかりでした。『よく集まってくれたな』と思います」と言葉をかけた。そして、大切な仲間を奪った青葉被告への思いを尋ねられると、はっきりとした口調で話した。
「当社は、人さまのアイデアを盗む会社ではありません。被告の思い込みによって事件が起きて断腸の思いです。日本の司法制度で、ちゃんとした判決が出ることをひたすら信じています。」