もしもあなたが鎌倉市を観光中、大地震が起きて津波警報が出たら…早稲田大学の柴山知也教授に効果的な避難方法を聞いた。
関東大震災では鎌倉でも400人以上が犠牲に
神奈川県鎌倉市は、年間1000万人以上が訪れる国内屈指の観光地。だが、100年前の関東大震災では、相模湾に面したこの街は強い揺れと火災、そして津波に襲われ、400人以上が犠牲になった。
今、もしもあなたが鎌倉の海岸を観光中に大地震が起きたら…

神奈川県の津波対策に携わっている早稲田大学 理工学術院の柴山知也教授に取材すると、「鎌倉で津波が想定される地震が起きた場合、最悪8分で第一波が到達するという計算結果がある」という。

柴山教授によると、鎌倉は地形的に津波のエネルギーが集まりやすく、大きな津波をもたらす可能性のある地震(相模トラフ地震や南海トラフ地震)が起こる場所に位置する。また、景観を守るため高い建物が少ないことなどから、津波による被害の危険性が高い場所だという。
そして、何より「観光客が多く土地勘が無い人が多い」のが1番の懸念点だという。
道の細い鎌倉…とるべき行動は
では、観光中に津波から逃げるにはどうしたらいいのか。
まず、「とにかく高いところに逃げる」が鉄則だが、知らない土地であたりを見渡し高いところが見えないとパニックになることもある。
闇雲に走ると、鎌倉市は道が細い場所が多いので行き止まりになることや、道に迷って再び海に出てしまうことも考えられる。
柴山教授は、次のような行動をとるよう呼びかける。
「旅行先で素早いルートで津波から逃げるためには、『ハザードマップや津波避避難経路』の標示を読み解いて落ち着いて行動することが重要」。
鎌倉市内には足元や電柱など津波避難誘導標識などの標示が370箇所以上ある。

「行き止まりを防ぐため基本的には広い道を通り、標識があったらそれに従って道を選択していく」というのが避難確率を上げるポイントだという。
(早稲田大学 柴山知也教授)
「他に、大切なのは、地元の人が避難誘導し、観光客の先導役になってもらうこと。そうすることで旅行客も正しい道に避難できる」。
柴山教授は、地元の人は避難するときに率先して「道を知っていますから私についてきてください」などと声を出すことを呼びかける。その上で気を付けるのは「津波が遡る恐れがあるため川の近くを歩かない」ということだ。川を横断しない、ということも大切だという。

また、指定されている避難ビルなどに逃げるのも有効な避難方法だが、それぞれの施設のキャパシティに限りがあるため、全員が避難できるように、健康な人は自分の足で高台を目指して避難するのが良いと指摘する。
(早稲田大学 柴山知也教授)
「全国的にもハザードマップなど標示がある場所は多い、事前に確認し津波からどう逃げるかということをあらかじめ意識のどこかに置いておいてほしい」
