「“世界は広い”と知ってほしい」

日常生活のための義足は、国の補助によって1人1本まで作ることができます。医師の診察のもと、義肢装具士によって一人一人の状態に合わせて作られるため、時間や手間がかかります。子どもの場合は成長にあわせて何度も作り替える必要があります。

父親の伸成さんは、大人用と比べて子ども用の義足に関する情報が少ないことにも不安を感じているそうです。

伸成さん
「九州の佐賀までいって車中泊しながら朝、診察してもらって(義足を)合わせて夜中帰ってきて次の日仕事と学校で…。義足だけの金額というよりも、周りの色々かかるお金も結構多くかかっているのは事実ですね。切断部分の状態と場所もあるので、じゃあ自分の子に、どこがあてはまるのか、難しかったのが現実です。今も、作る度に手探り状態で…」

そんなある日、義足ユーザーが「走る」ことができる体験会が広島であると聞いて、すぐに申し込みました。

伸成さん
「本人に相談した上で本人が興味あるって言ったらそこは積極的に協力する」
真由美さん
「障がいがあるから世界がせまいのじゃなくて、障がいがあってても世界が広いってのを見てほしくて」

「競技用の義足で走る」体験会を開いたのは、ギソクの図書館です。「ひとりでも多くの人に走る喜びが感じられる環境を作りたい」と、クラウドファンディングによる支援をうけて、2017年にスタートしたNPO法人です。

ギソクノ図書館・義肢装具士沖野敦郎さん
「歩くの大変なのに走ることができるの?ってなったときに、走ることが出来るかもしれない、可能性があります。では、道具を貸してよってなったときに、買ってください20万ではなくて、安い値段で借りれますよってのがギソクの図書館」

今回の参加者は5人。それぞれ、自分に合ったサイズの競技用義足を図書館の本のように貸りて試すことができます。まず膝継手(ひざつぎて)とブレードと呼ばれる板バネでできている競技用の義足を、義肢装具士がそれぞれの人に合わせて調整します。

「これが今日の楓馬くんの相棒」。沖野さんから受け取った競技用の義足ではじめて歩いてみることにしました。