これ以上のセトリはあるの?
今回の茅ヶ崎ライブのテーマ曲『歌えニッポンの空』、そして『盆ギリ恋歌』など新曲と共に、演奏されたセットリストは“圧巻”のひと言だった。
『真夏の果実』『LOVE AFFAIR ~秘密のデート』『ミス・ブランニュー・デイ (MISS BRAND-NEW DAY)』、さらに「G」ではなく「爺」と書いたヅラ(かつら)をかぶった『マンピーのG★SPOT』と、誰もが知り、誰もが愛する曲が次々と歌われていく。
『みんなのうた』では、久しぶりに恒例のパフォーマンス“水かけ”が登場した。桑田さんが、ホースを使って、客席に放水する。
この時ばかりは、映画館のスクリーンから水が飛び出して来てくれないかと思った。
会場でそれを浴びたファンは、さぞや幸せだったことだろう。
聴きたい曲はまだまだ多い。
しかし、それが何かすぐに思いつかないほど、サザン名曲のオンパレードだった。
感動のクライマックスに酔う
アンコールに入り、ラスト3曲は、これしかないという締めの3曲だった。学生バンドだった思い出を切ないメロディーラインで歌う『Ya Ya (あの時代を忘れない)』の時には、メンバー5人の若かりし頃の写真が映し出されて、思わず胸が熱くなった。
『希望の轍』は、2000年(平成12年)に開催された初めての茅ヶ崎ライブの記念すべき1曲目だった。
そして、ラストはデビュー曲の『勝手にシンドバッド』。
何回聴いても、いつの時代に聴いても、心から元気が出るこの歌で、全25曲、最終日は全26曲の圧巻のステージは、大団円となった。
会場、そして、全国およそ270の映画館ライブビューイングを含めて、4日間で27万人余りが参加した。
茅ヶ崎の夜空には花火が打ち上がり、夏から秋への熱き“祭り”は幕を閉じた。

歌い終えたサザンメンバー5人の晴れやかな顔。
サポートメンバーたちの笑顔。そこには、この一大イベントを成し遂げたことへの満足感が広がっていた。
桑田さんが宣言した「サザンは次なる計画を練って、またご報告します」という言葉に、茅ケ崎から遠く離れたライブビューイング会場でも割れんばかりの拍手が起こった。
ありがとう!サザンオールスターズ、同じ時代に生きていて、そして、45年の歳月を一緒に歩んでこれて、本当に良かった。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿(きたつじ としなが)】
1959年名古屋市生まれ。愛知県立大学外国語学部フランス学科卒。
1982年4月中部日本放送(CBC)に入社。
JNNウィーン特派員、報道部長、報道局長、論説室長などを経て現職。
著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社)『ニュースはドナウに踊る』(KTC中央出版)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』(ゆいぽおと)など。
自身のWEBコラム『東西南北論説風』は2019年度の大学入試問題にも出題採用。