超高齢社会の日本、2025年には、高齢者のおよそ5人に1人が認知症になると見込まれています。
「認知症になることは怖くない」と話し、前向きに生きる長野県上田市の女性を取材しました。

(出迎える市職員)「きょうはありがとうございます お願いします」

先月(9月)21日、上田市役所を訪れた春原治子(すのはら・はるこ)さん・79歳。7年前に認知症と診断されました。

世界アルツハイマーデーのこの日、市が認知症への理解を進めるために開いたイベントに招かれました。

春原さんは、国が任命する認知症の「希望大使」です。

全国に5人いる認知症当事者の大使の一人として啓発活動などに参加しています。

控室でお弁当を前に、ウエットティッシュで手をふいた春原さん。その直後のことでした。

(春原さん)「いま、手をふいたかしら」(市の担当者)「ふいたよ、大丈夫」

隣にいたスタッフがすぐに声をかけると、春原さんは自分が使ったウエットティッシュが机の上にあるのを見つけて、安心したようにつぶやきました。
(春原さん)「ふいたね。大丈夫、証拠がある」

■上田市福祉部 西嶋一男課長:「まずは市民のみなさんに認知症になっても春原さんみたいに前向きに明るく生きられるんだよというのを、春原さんを通して知ってもらいたいというのが一番。お話も非常に上手ですし」

認知症支援のシンボルカラー=オレンジ色の花を配りながら、当事者やその家族、市民と交流します。
(春原さん)「はいどうぞ」(来場者)「うれしいお元気で」(春原さん)「(私を)知ってるんですか」(客)「この前も来ましたし、元気ができました。ありがとうございます」

■認知症の夫がいる女性:「色々考え方も変われるもので(春原さんは)車の免許も返して体も不自由でできないこともある。デイサービスも行っている だけどまたそこでパソコン習ってみたり、いろいろお手伝いもできるできることもあるということを、認知症になったからこそ言えることがあるっていうんですよね」

訪れた人から寄せられたメッセージには「認知症のことが分からない」という言葉が目立ちます。

■春原さん:「みんな(認知症になると)ぼけちゃって何も分からないとか、そういうことを間違って思い込んじゃう人がいるから 認知症の人は、忘れることはあるけれども、私の場合は考えて行動できるというか、そういう力もありますよということを伝えたいですね」